Run to the Another World第171話
兼山、連、和美、グレイル、ディール、陽介、周二、浩夜と元々マシンもテクニックも
トップクラスのメンバーばかりなので、あっと言う間にチームの名前が売れて行き、
今では中堅クラスのチームとして首都高サーキットで活動中だ。
ただし淳はチームリーダーとは言えども他のメンバーよりは速く無いので、バトルを
する事はあれども自分からバトルを仕掛ける事は殆んど無いのだ。結成当時は
プロボクサーとしても活動していたのでなかなか走る時間が取れなかったのだが、
今はその時のメンバーにリーダーである自分がドライビングテクニックを教わりながら
チームで唯一の30代の走り屋として少しずつテクニックを上げている。
しかし今乗っているのはR32GT−Rでは無く、家族が出来た時の為にと思いV36
スカイラインのセダンを購入。それでも走りはR32GT−Rの頃と特に何も変わっておらず、
相手のリズムを狂わすような走りで翻弄させつつ、コーナーでは理想のラインを
キープして駆け抜けていく。
ちなみに何故淳がボクシングを習い始めたのかと言うと、習い始めた
中学1年生の時はまだ舞台等に興味は無く、特にやりたい事も無かったので
通っていた中学校に存在していたボクシング部に入った事が切っ掛けだったからだ。
中学校の3年間はボクシングに明け暮れ、高校に入ってからもボクシング部に引き続き入部。
そこから彼のボクシング人生が始まった訳だったが、その後高校生の時に
ボクシングの試合の帰りに親と舞台を見に行った事が切っ掛けで舞台演出家を目指そうと
決意させる位の衝撃を受けた。けれどもまだその時はボクシングも続けて居たかったので、
ボクシングをやりながら舞台の勉強もすると言う2足のわらじを履いていた。
その後にプロライセンスを取得したのは高校3年生の時だったので割りと早い方だが、成績自体は
プロの世界では厳しくいまいちだった。当時、現役高校生でプロボクサーとしてのライセンスを
取得した淳は公式戦にも出る様になったがアマチュアの世界とは比べ物にならない程の
厳しさにセンスが無い事を自覚してしまった。それでも今もなおボクシングを続けているのは、
舞台もボクシングも車もどれも好きだからと言う事に他ならない。
37歳でプロボクサーのライセンスは自動的に失効してしまうが、まだ36歳の淳はその年齢制限に後1年分
残っているのでまだ大丈夫だ。それと、自分のチームメンバーだけでは無くかつてのサーティンデビルズの
メンバーやチームゾディアックのメンバーが色々な格闘技や武術の使い手である事を今のチームメンバーから
耳にしている一方で、舞台演出に行き詰った時はジムのリングで他のチームメンバーと一緒にスパーリングをして
汗を流して運動不足を解消する事もある。
自分はボクシングだけでやって来た人間ではあるものの、例えば空手一筋で
やって来ている連が他の格闘技のテクニックを広く浅くではあるが習っている事や
グレイルや栗山もボクシングを習得しているだけでは無くその他にも色々な武術を
習得している事等から他の格闘技への興味も無いと言えば嘘になる。
だけど今は舞台の演出の方で一杯一杯なので、なかなかボクシング以外への時間が
取れないと言うのがどうしても先に来てしまう。
それは異世界トリップしてしまった今でも同じ事であり、アクセサリーを集める為に
奔走しているので他の格闘技の事を考えている余裕が無いと言うのが現状だ。
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