Run to the Another World第158話


(……!?)

順調に敵を倒していた哲の後ろに急に人の気配が現れる。何だか物凄く嫌な予感がした哲は咄嗟にしゃがむ。

その上を1本のナイフが通り過ぎて行った。すぐに哲がそのナイフがやって来た方を振り向くと、そこには

赤い髪の毛の若い男が1人。服装からするとこの男も騎士団員の様だが……?

「不意打ちか!」

その哲の言葉に男は答えず、またナイフを突き出して向かって来る。その突き出されたナイフを避けつつ、左手で

ナイフを持っている男の右手首を掴み、次に自分の右腕で男の右腕をその左手と一緒に挟み込んで、自分の

身体を前にジャンプさせて飛び込ませる。すると身体の重心が右腕に掛かっている男はそのまま背中から後ろに

倒れ込んだ。

「がっ!」

その隙に哲は男を尻目に一旦脱出。余り長い時間相手にしても居られない。


森の中で哲は1対1の状況になる様に気をつけながらまた騎士団員達を撃退して行くが、さっきの赤い髪の

騎士団員が死角から出て来て思いっ切り哲の腹目掛けて飛び込みつつ膝蹴りを放った。

まるでシュートボクシングの哲のお株を奪う様な強烈な膝蹴りだ。

「ぐほっ!?」

続けて男はキックを繰り出して来るがギリギリでそれを哲も回避。しかし3発目の前蹴りはかわし切れずに

胸に食らってしまい、それに怯んだ所で哲の顔面に男の左回し蹴りが炸裂。

「おっ!」


痛みを抑えつつ哲は立ち上がったが、今度はナイフを振るって来る男のその攻撃を避け、何発目かで上手くブロックして

関節技で固める。

「ぐー……っ!」

だがふと周りを見ると他の騎士団員がこっちに向かって来るのが見えたので、今関節技をかけて競り合っている

騎士団員を前蹴りで蹴り飛ばし、やって来た騎士団員をドロップキックで顔面に先制攻撃して倒す。


そうしてもう1度さっきの男の方に向き直った哲が見た物は、すぐ目の前にナイフを構えて突進して来ていた男の姿だった。

「!!」

避けるのは間に合わないと哲は踏み、上半身を前に突き出して地面と水平になる様な……まるで水泳のスタートの時の

飛び込みをしている時みたいなそのフォームでジャンプしながら、思いっ切り赤髪の男の顔面に頭突きを食らわせる事に成功。

「ぐごっ!」

突進して来ていた為止まりきれずにぶつかってしまった男は、思わずナイフを落としてしまう程の

激痛だった。哲はその悶絶する男の右足を両手でキャッチして引き倒して男を転倒させ、男の右足にまたがる。

そうして男の右足を力の限り足首からひん曲げた。

「うがあぁあぁぁあーっおおぁあぁあっ!?」


まさかの展開と痛みとありえない方向に曲がった自分の右足に絶叫する男だったがそれに構わず、限界まで男の右足を

捻り上げて、これで完全にふくらはぎから先があり得ない向き方をしてしまった。

「うぐぅ……うぐ……」

うめき声を上げる男は哲を見上げて何故か笑みをこぼす。その顔に異常に腹が立った哲は、全身全霊の力で男の顔面を

右足で踏み潰して気絶させた。

「はぁ、はぁ、はぁ……」

これで一段落した……と思っていたが、男は何と気絶しておらずに哲の首に腕を巻きつけて飛び掛かって来た。

「うぐぉぉ!?」

早く戦線離脱しないとやばいと思っていた哲は、今度こそケリをつけるべく仰向け状態のまま男の腹に10回肘打ち。

それに怯んだ男にとどめのローリングソバットを繰り出し、それで吹っ飛んだ男は背中から後ろに生えていた大き目の木に

ぶつかって気絶し、ようやくこのバトルは終わりを告げた。


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