Run to the Another World第155話


そして次にエルヴェダーからこんな質問が。

『1対1の場合は大体分かったんだが、例えば1対2とか1対3だったらどうするんだ?』

「ああ、その場合はそうだな……じゃあ永治と哲と由佳に協力して貰うか」

指名された3人はまず、藤尾の目の前に3方向から襲い掛かって来る様に立つ。

「例えばまず、自分の目の前から襲われた場合。こう言う時に絶対にしちゃいけない事がある。

それは真ん中に逃げる事なんだ。大体想像がつくと思うけど、敵のど真ん中に誘われた

軍勢は一気に不利になるだろう。こう言った場合ただでさえ3人相手はかなり不利だ。

そこでどうするかと言うと、考え方を変える事が重要だ」


そこでまずは実践する前にどう行動するかと言う事を藤尾が伝える。

「こう言う場合、真ん中には立たずに相手の両端のどっちかに逃げるんだ。両端って

言うのはこの場合は例えば由佳と哲の間でも良いし、永治と哲の間でも良い。基本的に

何処かに必ず道がある。そこの道を瞬時に見つけて逃げる事が絶対条件だ。それじゃあ

まずは3人で同時にかかって来てみてくれ」

そう言われて由佳、哲、永治の3人は同時にキックとパンチを藤尾に向かって繰り出したが、

藤尾はそれを身をかがめて素早く移動しながら由佳と哲の間に逃げる。

「ここに逃げる。これがまず最初のステップ」


次にここからどう反撃するかと言う事について藤尾の解説が始まる。

「さっき俺は考え方を変える事が大事だと言ったが、今の状況がそうだ。こう言った場合は

1対3と考えるんじゃなくて、1対1の戦いが3回繰り返されるって考えるんだ。つまりまず

この状況なら最初に哲の身体を捕まえて、横から残りの2人が攻撃を繰り出して来るから

その攻撃を哲の身体を使ってブロック。その攻撃を受けた哲は由佳と永治の攻撃で倒す事が

出来るから、そこから今度は由佳を捕まえて2人目の敵の由佳を倒す。最後に残った永治を

倒して3人目。これで1対1の連続になるだろう?」

『ほほうなるほどなぁ。これはシラットの動きなのか?』

「そうだ。これはシラット独自の動きなんだよ。ちなみに後ろからかかって来られる時も基本的には

今やった事と何も変わらないんだ」


と言う訳で今度は背後から、3人同時にかかって来られた時のデモンストレーションに移る。

「さっきは哲と由佳の間に逃げたけど、今度は別の逃げ道を教える。この場合は3人の両端に逃げる。

この場合で逃げるのはこの部分。端に居る永治の横に逃げる。それじゃあさっきと同じでいっぺんに

来てみてくれ」

その藤尾の言葉でまたも3人は同時にかかって行くが、藤尾はまたしても素早く身体を反転させて

永治の横に逃げて永治を掴む。

「逃げるのはここだ。で、俺は今こうして永治を掴んでいる。そうするとここからはさっきと同じで

永治を使って哲と由佳の攻撃をブロックし、哲を倒して由佳を最後に倒す。な、同じだろ?」

『確かにそうだな。考え方1つでここまで変わるのか』

エルヴェダーの感心した様子に藤尾は頷いた。

「そう言う事だ。つまり、相手がどれだけ多くても必ず道はある。限度はあるがな……。いっぺんに

大勢を倒そうとはせずに、1人1人を確実に仕留めて行く。エルヴェダーは人間の姿の時は

槍使いだし、ドラゴンの姿の時は火のブレスでいっぺんに敵を倒す事も出来るけど、そう言う戦い方は

よっぽど相手が密集した上での混戦状況じゃなかったら出来ないよな。だからこそ、このシラットの

戦い方を覚えててくれたら嬉しい」


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