Run to the Another World第152話


と言う訳で最深部へと辿り着いた6人は、エルヴェダーのもう1つのアクセサリーを

ゲットする為に彼に封印を解いて貰う事に。

「どう言う封印なのかしら?」

和美が興味しんしんに尋ねてみると、エルヴェダーは出口の先にある広場に辿り着いて

元の姿に戻った。

『ちょっと離れててくれ。俺様はここで今から火を起こす』

「火?」

きょとんとした顔で和美が尋ねると、エルヴェダーは少しだけ宙に飛び上がってそこから

火のブレスを盛大に地面に向かって吐き始める。


……が、この時異世界人の6人は別の事でびっくりしていた。

「なぁ、熱く無くないか?」

「俺もそう思ってた」

「こんなに近くで火が燃えてるのに熱くない」

「確かに熱気なんてこれっぽっちも感じないわね」

「普通これだけ広範囲が燃えているなら凄く熱い筈なのに」

「あれはただの火じゃないって事なのか?」

そう異世界人の6人が会話をする中で、エルヴェダーは地面に火のブレスを使って

何かの文様らしき物を描いて行く。


そしてそのアートが完成したらしい。するとそのアートが完成した広場の中心が思いっ切り

燃え上がって火柱が出来たかと思うとすぐに収まる。

その収まった火柱の後に残されて居たのは焦げた地面と、赤色で染められた……。

「紐……?」

これがアクセサリーなのか? と思うアイトエルを筆頭にしてデストラクションパフォーマーズの

5人も首を傾げる。その中で最初にその紐の正体に気がついたのは永治だった。

「これは確か……軍服とかにぶら下げている肩の紐で飾緒(しょくちょ)、だったかな」

「ああー、軍隊のお偉いさんとかがつけているあれ?」

「そうそうそれそれ」

由佳が納得した様に思い出すのを見て、永治も肯定の返事をする。


『これが俺様のアクセサリーだ。貿易商ともなればそれなりに身なりにも気を使わなきゃいけねぇ。

さっきのこの肩章も同じ理由だ』

どうやらこのアクセサリーを封印していた理由はそう言う事らしいが、何故これを選んだのだろうか?

「何でこれなの? もっと大事な物とかありそうだけど」

和美が心底不思議そうに問い掛けると、エルヴェダーはまたもや意味深な事を言い出した。

『それなんだが、一見秘宝には見えない様なアクセサリーを封印する事が肝なんだ。俺様達ドラゴンが

こうして封印しているアクセサリーには確かにそう言う秘宝っぽいのもあるっちゃあるけど、俺様がこの

飾緒を選んだのはそう言う理由があっての事なんだ』

「何か良く分からないけど、つまりこの旅の最終目標にはそうした一見秘宝には見えない様な

アクセサリーを使って何かをする事にあるのか?」

『ああそうだ。俺様達はその為に御前達魔力を持たない人間達の協力が必要だって話だ』


でもそんな事を言われたって、まだ目的が明確でない以上きちんと説明位は

して貰わなければ協力出来ないと言うのも事実だった。

「だけどさぁ、協力するのはその目的位はきちんと聞いておかなきゃ私達だって

まだまだ疑いの眼差しを向けるしか無いわ。そのアクセサリーを集めてどうするつもり?

まさか世界征服を企むとかそう言った事なら私達はお断りよ」

由佳のそうした要求と疑問も最もなのだが、ここでエルヴェダーは信じられない事を言い出した。

『それが……俺様達も知らないんだ』

「は?」

『俺様達もあの声に従って、アクセサリーを集める様にとの事しか知らされていない。魔力が無い

人間が重要な鍵になるって事もな。だからこそ俺様達が世界征服をしようなんて事は考えちゃいねぇよ。

大体俺様は今の生活で満足してるし』

「ふぅん……」

その言葉に何処まで信憑性があるかは今の所不明確なのだが、もしそうだとしたらその声の主は

一体何なのだろうか? その事について何か知らないかと問いかけようとした由佳だったが、

それよりも先に哲がある事に気がついて彼女に声をかけた。


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