Run to the Another World第147話


イギリスのバーミンガムで生まれたアイトエル・ガエリセンはその生まれつき大柄な

身体を生かして近所のガキ大将的な存在として知られていた。

そんな子供時代を過ごしていたアイトエルは段々街の不良となって行き、高校には行っていたものの

そこでも不良グループの一員となっていた。そして高校を卒業した後に暴行と窃盗で刑務所に入り、

その中でボクシングとパワーウェイトを始める事になった。元々の大柄な体躯を更に鍛え上げ、

今は身長196センチ、体重は110キロと言う超大柄で筋肉質な身体を持っている。

出所後は刑務所で知り合った刑務官のツテで設備会社に入社し、ボクシングの試合に出たり

パワーウェイトの試合に出たりして毎日を過ごしていた。


今ではその会社から独立して自分で設備会社を立ち上げており、その傍らでジムに通いつめて

ボクシングとパワーリフティングに打ち込み大柄で筋肉質な体型を46歳になった今でも維持している。

ヨーロッパの他のメンバーとは最初に設備の仕事の関係でバラリーと出会ったのに始まり、その後に

バラリーと一緒に演舞を観戦しに行っていた残りの3人を紹介して貰ったのである。

アイトエルはそうした経緯から格闘技の経験はボクシングしか無いのだが、大柄な体格を活かしてパワーで

圧倒する事は出来る。ただ殴るだけでは無く、大きな設備を人力で運ぶ関係で重い物は運び慣れているので

人間を投げ飛ばす事だって不可能では無い。

そして並大抵の攻撃ではアイトエルの大柄で筋肉質な身体はびくともしないし、設備の中には70キロや80キロと

言った大きな物もあるのでそれを日常的に運んでいる事もあり、重い物を持ち上げるコツを心得ている。


ヨーロッパの5人組の中では47歳とメンバー最年長と言うだけあり、最年長のメンバーが若い奴を

引っ張ると言う感じ……になるかと思いきや実はそうでも無かったりする。メンバー構成としては

サエリクスとジェイノリー、バラリーとアイトエルでコンビを組む事が多く、チームリーダーのハリドは

基本的には1人で行動する事が多い。

ジェイノリーが暴走しがちなサエリクスを抑える役目であり、元々刑務所に入っていたり

ガキ大将的な存在であったりと言う過去からなかなか突っ走りがちなそのアイトエルを抑える役目を

メンバー最年少であるバラリーが果たす事がとても多い。


だけどたまには最年長らしく気の利いた事を言ったり、細かい所に気がつきやすい注意力の

高い面もアイトエルは持っている。

また、ボクシングとパワーリフティングがスキルとして存在するアイトエルとフリーランニングや

パルクール等の身軽な動きが得意なバラリーと言うポイントにおいても2人の性格の違いが良く

現われていると言って良い。この事からコンビ技として編み出したのが、普段重量物の運搬で

重い物を持ち運ぶのに慣れているアイトエルが、体重がアイトエルの約半分の60キロと軽い部類に入る

バラリーを抱え挙げてまるでダンスの様にその身体を振り回して武器の様に扱う物であった。


これはリーダーのハリドからの提案で生み出された物であるが、アイトエル自身はなかなか有効な

手段として気に入っているらしい。ただし振り回される方のバラリーはたまった物では無いらしく、

このコンビネーションテクニックは余り使わないで欲しいとアイトエルに言いつけているのも事実だった。

あのバーレンの船の中でのバトルに関しては相棒が居なかったのでそのコンビネーション技を

使う事は出来なかったが、大柄な体躯と屈強な身体から繰り出されるそのパワーで

金色の鎧を着込んだ人間達に対しても鎧の重さ等意にも介さずに投げ飛ばしたり、ボクシングの

フットワークの軽さで装甲が薄い脇腹に強烈なフックを叩き込んだ後に前蹴りで蹴り飛ばしたりと

まさにパワー全開のバトルを繰り広げていたのが自分で印象に残っているらしい。


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