Run to the Another World第146話
そんなこんなでR34GT−Rを購入した永治は、まだ使えるパーツを廃車に
なってしまったR32GT−Rから全て移植して更にチューニングも施す。
その上、1999年と言えば首都高速が一般公道からサーキットに
再利用される事になって生まれ変わった記念すべき年でもあり、これで
大っぴらに走り屋達が心置き無く走り回れるサーキットになったのだ。
そしてその憧れていた赤い彗星の名にちなみ、永治には何時しか「紅の悪魔」と
言う通り名がついていた。
その時点で首都高速を走り始めて結構な年月が経っていたと言う事、憧れの
キャラのコスプレをして良くも悪くも目立っていたと言う事、首都高サーキットでは
裏四天王の1人と呼ばれる位に成長していた事もあり、彼自身の目立ちたがりな
性格もあってR34GT−Rにもそのキャラが操るロボットの様に角をつけてみたり
サイドにナンバーを入れてみたり、ボンネットに黄色いエンブレムを入れてみたりともはや
やりたい放題であった。
その後は椎名連に負けて宝坂令次に負けて、宝条京介に負けて山下緒美に負けて、
山中正樹に負けて早瀬瑞穂に負けて、と世代交代の波を痛感していた永治。しかも
首都高サーキットを走る傍らでクローズドサーキット様にRX−8を購入し筑波サーキット等にも
走りに行っていたりもしたのだが、そこで白石瑠璃にも負けると言う事もあり自分の限界を
感じていた。それでもここまでやって来た情熱が冷める事は無く、R34GT−Rをクラッシュ
させてしまい、RX−8もパワー不足で売却してGDBーFインプレッサを購入し、その後も元気に
首都高速サーキットを走り回っていた。
それは今の2013年になっても変わらず、家には某ロボットアニメのグッズやポスター等がずらりと勢揃い。今では
アルバイトで入ったホストクラブのオーナーにまで上り詰めた彼であるが、良く質問されるのが
「何でコスプレしてるそのキャラは金髪なのに、紫色の頭なの?」
と言う事だった。これに対する永治の回答は、金髪だと色落ちしてまだら模様になった時に
かっこ悪かったし、その紫頭のキャラも嫌いじゃなかったからと言う。
異世界ヘルヴァナールにやって来た今では百瀬和美、三浦由佳、藤尾精哉、宮川哲の4人と
チームを組んでいるのだが、それは前に確認した通りでRX−8でC1グランプリに出ていた頃、
彼はドリフトが上手いグループのチームDPの一員として活動していたからである。
インプレッサでもセンターデフを交換してFRに出来る、ドリフトセンターデフと言うパーツが今では
売られているので、たまにそれに交換しては首都高速サーキットや富士スピードウェイドリフトコース、
日光サーキット、筑波サーキット等で彼がコスプレをしたままドリフトしている姿を見る事が出来る。
当然レーシングスーツもグローブもそのキャラ仕様にしてあるのでそろそろ痛い目で見られていると
言う事を自覚しないといけない年齢になって来たのは紛れも無い事実なのだが。
特技としては1度見た人物の顔は絶対に忘れる事が無いと言う驚異的な記憶力が自慢であり、
普段の職業はホストなので客の顔をしっかりと覚えておかないと次にリピーターとしてそのお客が
来た時にサービスが出来なくなるからだそうで、そう言った職業柄必要なスキルである為に身についたと
言う話だった。車でも柔道でも自分の戦い方を冷静に分析して勝負を仕掛ける冷静沈着な性格で、
非常にムラが無くてミスも少なく、冷静に淡々と勝負をするタイプだ。
なのでただの痛い人物では無いのだが、それを知らない人間からはやはり痛い人物としか見られていない。
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