Run to the Another World第140話
人間の言語を喋る事が出来るドラゴンのタリヴァルと、あの火山での出来事を
話してしまった事が逆に仇となり、大騒ぎになったバトルゾーンの中で戦う事になった一同はそれぞれ
そのバトルゾーンの中でバラバラにはぐれてしまう事になる。となれば各自がそれぞれまずは何とか
上手く切り抜けて脱出して最終的にこのラーフィティア王国からも脱出しなければいけないと言う事になるのだ。
(くそっ、ここまでの騒ぎになってしまったか!)
孝司も勿論この騒ぎが原因で戦う事になってしまったので、何とかしてここから脱出をしなければいけない。
が、そんな彼の前に騎士団長のローエンが立ち塞がるのであった。
「御前も勿論、王都の城に来て貰うぞ」
「だからやだっつってんだろうがぁ!!」
孝司も捕まってしまえば元の地球に帰る事が出来なくなってしまうと言う事は分かっているので、戦う道を選ぶだけだ。
バトルゾーンの一角で孝司は騎士団長のローエンと戦う。オーソドックスなロングソードの使い手だが、たまに
魔法も使って来る魔法剣士なので大柄な自分がどうやって対抗すれば良いのかを見極めなければ勝機を
見い出す事が出来ないと考える。騎士団員はそれぞれ武器を持っているので孝司も油断出来ないのだが、大抵は
武器を振った後の隙を使って一気に接近して攻撃を仕掛けるのがパターンだ。
だがこの今相手にしているローエンはなかなか上手いロングソードの使い手であるらしく、接近する事が難しい。
しかしそこはムエタイとカンフーで培った反射神経を武器に対処する。
突きを繰り出して来たローエンのロングソードを避けて飛び込んだ孝司は一気に接近しつつ腕で
ローエンの首をがっちりとロックして締め上げ、ムエタイ仕込みの強力な膝蹴りをお見舞いする。
「ぬおおおおおおっ!」
更に雄叫びを上げながら孝司はローエンに一際強い膝蹴りをかましてから地面に投げ飛ばし、地面を転がった
ローエンの股間を彼が立ち上がって来る前に足の裏で踏みつける。
「ぐふっ!」
鎧を着込んでいるのだがそれでも少しだけ股間に衝撃が来たローエン。が、そんな事は孝司に関係無いので
更にローエンに追撃をかけようと身体を反転させながら肘落としを繰り出したが、寸での所でローエンもゴロゴロと転がって回避。
肘落としを空振って地面に倒れたが、それでも起き上がって来た孝司にローエンはドロップキックをかまして後ろに
ぶっ飛ばし、素早くそこから体勢を立て直してもう1度起き上がって来た孝司を仕留めるべくロングソードを突き出した。
が、その突き攻撃をギリギリで回避した孝司はロングソードを空振ったローエンにミドルキック。更にムエタイで鍛えた右ストレートを顔面に。
「ぐぉう!!」
顔を押さえて悶絶するローエンにダッシュし、飛び両膝蹴りをローエンの胸に叩き付ける。
「ぐぇうっ!?」
衝撃に耐え切れずに足をもつれさせて崩れ落ちたローエンを力任せに持ち上げて、そこから地面に叩き付けてフィニッシュした孝司は
他のメンバーと合流して逃げるべく気絶したローエンを放って置きその場からそそくさと立ち去った。
どうやら他のメンバーもそうだし、エスティナも上手く逃げおおせた様だ。更にタリヴァルもドラゴンとしての力を
本領発揮したのか、前足を大きく振り上げて地面に叩き付ける。その衝撃で騎士団員達をぶっ飛ばし、
大分騎士団員達を戦闘不能にした所でエスティナ以外の5人を背中に乗せて空へと飛び立つ事に成功。
グレイルは白い髪の毛の男を倒し、周二と兼山も何とか生き延びた。
「エスティナ……大丈夫かな?」
兼山の疑問にタリヴァルが辺りの気配を探る。
『この辺り一体にはどうやらもう居ない様だ。旅人だけあってこう言う状況から逃げ出す術は心得て
いるのかもしれないな。探してみるか?』
「ああ、頼む……」
とは言っても騎士団員達に目をつけられてしまったので余り長くは探せなかったが、ついにエスティナの行方を
掴む事は出来なかった。
「無事である事を祈るしか無いな。もっと探したいけど俺達も長くここには居られないから」
孝司のその一言が決め手となり、エスティナが無事である事を願いつつ自分達5人は合流ポイントへと
タリヴァルに飛んで貰う事にしたのであった。
Run to the Another World ラーフィティア王国編 完
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