Run to the Another World第137話


それはタリヴァルの背中に乗っていた6人の内、周二が遠くの方に見えて来た大きな街について

口を開いた事から始まった。

「あの大きな街は?」

その問いにエスティナが若干遠い目をしながら答える。

「あれがこのラーフィティア王国の王都ベルトニアよ。そしてあの城が王が住んでいるレガリア城ね」

更にそのエスティナに続いてドラゴンの姿のタリヴァルが王都ベルトニアの情報を話し始める。

『もしあそこで情報収集するなら、武術大会が開かれている闘技場があるからそっちの方が良いと思う』


「武術大会?」

自分達も武術にそれぞれ携わって来たが、その中でも一層長いキャリアを持っているグレイルが

真っ先に食いついた。

『そうだ。国の活性化の為に今では毎日大会が開かれている。年に何回かは大きな大会もあるらしいがな。

まぁ、今から行く機会が出来るとは思えないがな……』

そしてこの闘技場でもエスティナ曰く、何人もの罪の無い人間が戦わされて見世物にされたりして殺されたのだと言う。

だがこの6人が、すぐにベルトニアの闘技場に行く機会……は無いもののベルトニアのすぐ近くで戦う機会が

出来る様になる等、今の一同には知る由も無かったのであった。


それは6人が乗っているタリヴァルの元に1本の矢が射られた事から始まった。

『おっ……っと!?』

いきなり矢が自分の右側面を掠めて行った事でびっくりしたタリヴァルは若干姿勢を乱す。

「えっ……ちょっ!?」

それによって今度は橋本が背中の上から滑ってしまい空中に投げ出される。

「お、おいおいっ!?」

慌ててその橋本の手を周二が掴んで事なきを得た……かと思いきや、更に矢が射られて来て

タリヴァルが緊急回避をしたが為に今度は周二まで滑って行ってしまう。

「うおおっ!!」

何とかそれを今度はグレイルと孝司の2人掛かりで食い止めるが、このまま飛び続けるのは

危険だと判断した兼山が指示を出す。

「ちょ、ちょっと1回下に降りよう!!」

『分かった!』


タリヴァルはなるべく身体を傾けない様に水平飛行のまま地面へと接近し、投げ出されている

メンバーを地面にぶつけない様にしてスピードを落としつつスーッと着陸。

しかし次の瞬間そんな6人とタリヴァルの元にまた矢が射られて来た。

「なっ!?」

それは自分達には当たらなかった様だが、何度も何度もこうして矢を射られているのは

何故だろうとか、何故自分達に矢が振って来るのだろうとか言う事を考える。

勿論矢を射って来ている人物は何処に居るのかとかその人物は一体何者なのか、どれ位の人数が

矢を射って来て居るのかと言う疑問も出て来るので、6人とタリヴァルは辺りを警戒しつつ矢が射られる方向を

見定めようとしたのだったが……。


「そこで止まって貰おうか」

「えっ!?」

声のして来た後ろの方を振り向くと、そこには何時の間にか大勢の武装した色とりどりの服装をしている

男女が集結していた。しかも武装している上に、色とりどりの服装と言っても違うのは色だけで形は全く同じ。

と言う事は大体この男女達の正体は察しがつくが、それに真っ先に反応したのがタリヴァルだった。

『御前達は……今のラーフィティア王国騎士団か!!』

「えっ、こいつ等がそうなのか?」

周二がタリヴァルに尋ねるが、それの返事はタリヴァルでは無く6人とドラゴンに停止する様に指示を出した

緑髪の中年の男からだった。

「そうだ、私達はそのドラゴンが言う通りラーフィティア王国騎士団だ」

「そのラーフィティア王国騎士団が何で俺達に矢なんか……と言うかあんた、誰なんだよ?」

そう言う橋本に対し、ラーフィティア王国騎士団のリーダー格である中年の男は次の瞬間

とんでもない事実を6人に話し始めた。


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