Run to the Another World第133話


目の前に広がっていた光景は、火山の火口付近に倒れている多くの人間の死体であった。

「駄目だ……みんな死んでるみたいだ」

「こっちもだぜ」

「こっちも駄目っぽいな。一体誰がこんな事を……」

服装から見るに、これは恐らくさっきのラーフィティアのパラディン部隊とか言う奴等の物であろうと

レーシングプロジェクトの5人がエスティナに確認する。

「……そうね、これは間違い無いわ。色は違うけどデザインは似た様な物ね。どの部隊かまでは知らないけど

さっきのラーフィティアのパラディン部隊の連中よ」

「でも何であの連中の仲間がここに……」


そう周二が呟いた時、ハッと全員の視線が合った。

「まさかこいつ等も!?」

「そう考えればつじつまが合いそうだな」

『我のアクセサリーを狙う連中だったと言う事か。だがこれはどうだ。仲間割れかそれとも別の

集団がやったのか。我はアクセサリーが取られたかどうかの確認をして来る。何か他に

手がかりが無いかを探してみてくれないか』

「よっし、分かった!」

人間の姿のタリヴァルに孝司がそう返事をして、6人の人間は何か他に手がかりが無いかを探す事に

したその時、下から誰かがここにやって来る足音が聞こえて来た。


「……ん?」

「誰か上がって来るぞ?」

思わず作業の手を止めて足音がして来る方向へ耳を傾け目を向けながら身構える一行。

そんな一行の前に現れたのは、黒ずくめの服装に金色の髪の毛をしてロングソードを腰に

ぶら下げた人間だった。

そしてその人物は、異世界人5人の中の2人と面識がある人物でもあった。

「……あれっ!? あんたは!?」

「えっ、何でここにあんたが居るんだ……?」


その男は、バーレン皇国で兼山と孝司達に色々と教えてくれた金髪のあの男だった。

「あれ、君達こそ何故ここに? って何だよその状況!? 一体何があったんだ!?」

「い、いやこれは……」

何とか冷静になるように感情をコントロールしながら、最もこのメンバーの中でクールな性格である周二が

状況説明をその男にした。

「……と言う訳だ。俺達がここに来た時はもう……」

「そうすると、これだけの人数が絡む様な事がここであったと言う事になるな」

「ああ。ここの山道を登って来たんだろ? だったら何か怪しい人物を見かけたとかそう言う事は無かったか?」

兼山がそう尋ねると、金髪の男はああ……と何かを思い出した顔をする。

「そう言えば、下の方に怪しい集団が居たな。その倒れてる奴等とはまた違う奴等だった。

僕もその下の方に居た集団については知らない連中だったけど、身なりから見ると傭兵だったかな?」


何で傭兵の集団がこんな場所に居るのかも分からないが、この男の言っている事が本当なら

この山では何かが起こっていると言う事になる様だ。

「その集団って登って来てるのか?」

「いや、下りて行ってるみたいだが……」

グレイルが尋ねた所、その様な回答がもたらされたのでどうやらこの死体達を作り上げたのは……。

「恐らく、それはこいつ等がやったんじゃないのか?」

『可能性としてはあるだろうな』

何時の間にか戻って来て話を聞いていたタリヴァルがそう頷いた。


「で、何か見つかったのか?」

そう尋ねるグレイルに対して、タリヴァルは1つの髪飾りを出して来た。

『これはどうやら無事だった様だな。我の属性である光属性の魔力を

当てないと開かない隠し場所があるからそこに保管してあったんだ。

これで2つ目のアクセサリーは回収完了だな。後はどうする?』

「どうするも何も、このまま合流ポイントへ向かう。それだけだろ?」

そのタリヴァルの質問に、一同のリーダーである市松孝司が即答した。


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