Run to the Another World第132話


そんなエスティナの様子を横目に、集団の先頭に居る黄色い髪の男が橋本に話し掛けて来た。

「貴様等、ここで何をしている?」

「俺等はこの神殿に観光に来たんだ。そっちもか?」

しかし、今度はもう1人の白い髪の毛の若い男が口を開く。

「俺達はここに派遣された調査隊だ。さっさと出て行け。今からこの神殿には立ち入り禁止とする。

さあ早く何処かへ消えるんだ」

何だかすげぇ尊大な言い方だなぁと思いながらも、白髪の男の言う事が本当ならばこれ以上

邪魔してはいけないと思いさっさと退散する一同。

だがエスティナのあの怯え方は尋常では無かったので、その集団が全員神殿の中に入って

行ったのを確認してから彼女に確認する。

「さっき、ダメ……って言ってたけど、あれって……」

戸惑いがちになりながらも、孝司がエスティナからその怯えていた理由を聞き出そうとする。

しかし次の瞬間、エスティナの口から衝撃の事実が他のメンバー達に語られる事になってしまうのであった!!


「さっきの集団……服だけ見てみると、前のラーフィティアの騎士団の服装をしていたのよ……」

「え?」

その告白に固まる一同を尻目にエスティナは続ける。

「あの服装、間違い無いわ。騎士団は確か第1パラディン部隊から第12パラディン部隊迄に

部隊が分けられていて、それ等を統括する立場に将軍が居た筈。騎士団があれだけ横暴を

繰り返していたのだから有名過ぎるわ。それに、将軍のジェイデルって奴も有名よ……何時も騎士団の

パレードの先頭で大手を振っていたからね」


「でも、その集団を語っている偽者かもしれないだろ?」

安心させようとそう問い掛けた孝司だったが、エスティナは更に強く首を横に振った。

「違うわ! あの黄色い髪の毛の男は私、見た事ある。あの男は特に横暴が酷かったって話だし

あの男に私は殴られたのよ。名前は知らないけど、でもあの服装とあの黄色い髪の毛は今でもハッキリ覚えているわ!」

そう叫ぶエスティナに、孝司は自分の迂闊さを後悔した。

「すまん……だったら、あいつ等が本当に正規の前の騎士団なのか調査する必要がありそうだぜ。天変地異で

滅んだ筈の王国なのに、その滅んだ時の騎士団がまだ残っているとしたら……」

「この国の騎士団や王は、まだ生き残っている可能性が高いと言う事か」

周二が孝司に続けた。

「実際の所、あいつ等がラーフィティアから出て行った後はこの国の情報については何も知らなかったんだろう?」


兼山がエスティナに問い掛けると、彼女はまた頷いた。

「ええ。王族も騎士団ももう顔も見たくなかったし、ラーフィティアとはもう縁を切ったつもりで居たから。

それにあれだけの天変地異が起こったのなら騎士団も城も滅んでてもおかしくないって思ってたし、唯一

手に入れたその天変地異の情報については世界各地で噂されてたから本当だって思ったわ」

「でも、現にその騎士団の奴等は存在している。関わらなければ良いだけだろうが、ラーフィティアで

俺達はまだやる事がある。俺達と一緒なら安全だ」

「……ええ、そうね」


が、ここで周二がこんな一言を漏らす。

「しかし……その滅亡した騎士団が、どうしてここに……」

「それは……何でなんだろうな?」

そう言われて、グレイルもふと疑問に思い始める。そんな騎士団がこんな辺境の地に迄現れたと言う事は、

何か目的がある筈だ。

「俺も気になる……けど、あいつ等に今は構っている暇は無いだろう。先に進もうぜ」


橋本のその一言が決め手となり、一同はもう1つの別荘に行く為に火山へ向かう。

だが、そこでも衝撃的な光景が待っていた!!

「なっ!?」

「え、何だよこれ!?」

「ええ!?」

「酷い……」

「これ、一体誰の仕業なんだ!?」

レーシングプロジェクトの5人もドラゴンもエスティナも、辿り着いた火山に広がっていたその光景に

驚きを隠す事は出来そうに無かった。


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