Run to the Another World第124話


部屋には支えとなる大きな柱が6本立っており、床の中央にはまるで城の内部の様に

赤い絨毯が敷いてあるかの如く、赤い模様が一直線に向かって伸びている。

その模様が伸びている先には数段の階段があり、その上に石碑が存在していた。

「ここが最深部か……」

「で、あれが問題の石碑だな」

「エスティナのペンダントは凄く輝いているみたいだしな」

「……ええ」

エスティナは胸にぶら下がるペンダントを見る。それは今迄で最も強く光り輝いており、

ここがゴールなのかも知れないと言う期待に一同は包まれていた。


「この最深部に来る迄、あんたのそのペンダントの光り方がどんどん

強くなって来てるからな。何かある筈だ」

グレイルがそう言って。更にペンダントが光り輝く場所が無いかを彼女に

探って貰う事にする。もしかしたらこのペンダントは一種のセンサーに

なっているのかもしれないからだ。そうすると、大体予想はついていたのだが

石碑の前がもっとも輝きが強くなっているポイントだと言う事になった。

「ここね」

「ああ。だけどこのペンダントを如何すれば良いんだ……?」

とりあえずエスティナはペンダントを首から外し、石碑の前に置いてみる。

そうすると次の瞬間、一同の前に驚くべき光景が現れた!!


それはまず、人間達の後ろから聞こえて来た咳払いによって始まる。

『貴様等、何か忘れてはいないか?』

「えっ?」

その声に孝司を始めとした6人が振り向くと、そこには腕を組みながら呆れと

怒りのオーラが半々のタリヴァルの姿があった。

『ここは我の別荘だと言う事をだ』

「あっ……」

そのタリヴァルの発言に「しまった!」と言う顔をするエスティナだが今更遅そうだ。

『……女、そのペンダントを大人しく我に渡せ。と言うよりも返せ』


貴様の友達とやらのやっている事はただの横領だ、とタリヴァルが言い半ば奪い取る様にして

エスティナが差し出したペンダントを受け取った。

『兎も角、これで1つ回収だ。だが……今までの話を後ろから聞いていて色々と疑問がある様だから

1つずつ解説してやる。長くなるからそれぞれ階段なり石碑の前なり色々な所に座れ』

有無を言わせないそのタリヴァルの話し方に、6人の人間達は大人しく座る。

『まずはこのペンダントが光っていた理由だが、ここは我の別荘だから光属性の魔力を溜めてある。

しかし今は余り魔力を使わない様に薄暗くしてあるんだ。それにこのペンダントは魔力が秘められている

我の持ち物だ。だからその魔力とこの別荘の魔力が反応してこうして輝いている。これで良いか?』

「はい、良く分かりました」


思わず敬語になる孝司に、今度はここに来るまでにペンダントの光が強くなって行った理由を説明。

『この部屋が1番魔力が溜まっている場所だ。上の方程空の光があるから魔力の量を少なめに

溜める様にしている。魔力が多ければ当然反応する力も大きくなるから、輝き方も強くなるのは当たり前だ』

こうして一気にこの神殿の主であるタリヴァルの解説も終了したが、彼はこのまま6人をこの場から出させる

つもりは無かった。

『それじゃあ、今度は御前達の番だな』

「は?」

思わず間の抜けた返事をする兼山に、神殿の主のタリヴァルは真顔で続ける。

『御前達の事もあの島で聞いた時より詳しく話して貰おう。そこの女以外はな』


Run to the Another World第125話へ

HPGサイドへ戻る