Run to the Another World第12話


洋子が禁書庫への潜入をしている丁度その頃。最後のチームであるハリド、令次、岸、連の4人は

何とかしてこの城から脱出出来る場所が無いかどうかを「城の見学パート2」と称して怪しまれない程度に

地道に調べていた。ルザロやシャラードからも許可を貰ったので大丈夫なのだが、なかなか城から上手く

脱出出来そうな場所を見つけられそうには無かった。やはり城と言うだけあって至る所に兵士が

常駐している。それに加えて自分達は異世界からやって来た人間と言う事だけあって監視の目も

厳しい状況だ。これでは逃げ出すのは到底無理そうである。

「これじゃあ無理そうだな……逃げるの」

「ここは大人しく、他の国に転送されたって言うメンバーが見つかるのを待つしか無さそうだぜ」

「ですね……」

早々に脱出出来そうに無い事が分かったのを、スーツの内ポケットから地図を取り出してそれを眺めつつ

令次は溜め息を吐いた。病院の勤務が終わってこの格好のまま今回のパーティに来た令次だったが、

収納スペースが多い服は今は有難い事である。

「それにしても、この地図を見る限りでは本当広いですよね」

「何か、まだ見つかってない様な別の大陸があったりしてな……」


だがその連のぼやきに、他の3人は一斉に連の方を見る。

「ど、どうした?」

「……その可能性もあったりするかも。いや、あくまで僕の推測だけど」

「でも推測の域を出ないからな。今はとりあえず鍛錬場にでも行ってみよう」

「そうするか」

今はとにかく、この城に居る自分達以外のメンバー達の情報を待つしか無い。

他の国にも連絡を取ってくれているのであれば、それで情報を待った方が確実だろう。


と言う訳で4人は城内部の調査を終了し、そのままハリドの提案もあって鍛錬場へと向かった。

「あれ、御前等居たの?」

「おお、トレーニングしに来たのか?」

鍛錬場には哲、周二、グレイル、そして見張りのリアンとラシェンの姿が。

「俺達も混ぜてくれないか」

「ええ、良いですよ」

「貴方達もそう言えば鍛えてらっしゃいましたね」

「はい、一応」

合計7人でトレーニングを始めるメンバーだが、スパーリングはケガをしたら困るのであくまでも基礎トレーニングに徹する。

広い鍛錬場内を走り回り、それから腕立て、腹筋と続く。

「良くやりますね」

「ああ、本当にな。……そろそろ昼食です。戻りましょう!」

「はーい!」

ラシェンの声で7人はトレーニングを終了し、部屋に戻る事になった。



昼食を各自の部屋で摂り、その後に3つのチームが合流し集めた情報を各自披露し合う。

「……と言う訳で、これ等がその文献だ」

「そっちは収穫ゼロだったみたいだし、俺達のチームもその転送装置の

部屋以外の収穫は駄目だったしな。残りはこれだけか……」

目の前に置かれた数冊の本を見て、メンバー全員がとりあえずその本を読み漁る事に。

「知能が発達したドラゴンって事は、こっちの言葉もわかるって事か」

「ファンタジーじゃ有り得るよ、十分」

「それよりも問題はそのドラゴンが何処に居るかなんだがな」


その事について文献を読み漁って行くと、図書館に行ったメンバーが先にここで読んでいた

通りに最後の封印場所が見つかったと言う記述が流斗の読んでいた文献から発見された。

だが、最後の封印と言うのはどうもこのファルス帝国の中の様である……。

「他の国にもドラゴンが居るってあの声は言ってたけど、ここに書いてあるのは帝国の中の話の様ね」

「そうだなぁ。けど、この2体の事がわかっただけでも大きな進歩だよ」

若干トーンダウンする洋子の声に対し、グレイルはポジティブに考えてみる。


「だったら、この地図で言うとその封印されている場所はこっち側のここと……それからこっち側だな」

「うわぁ、見事に逆方向じゃん」

ハリドが地図にペンで印を付け、それを見た岸が明らかに面倒くさそうな声を上げた。

「とにかく俺達が行かない限りはどうしようも無いだろうし、どうにかして会いに行きたいけど」

「でも、城から抜け出す理由が全く見つからないぜ」

連の言葉に流斗が続け、更に和美も皆が考えていた事を言う。

「もし黙って抜け出しても、すぐに捕まるのは目に見えてるわね」


場所は違えど再びシーンとなる室内。

「逃げられるのなら逃げたいけどな」

「無茶だぜ。帝国軍……いや、国その物を敵に回す事になる」

永治のぼやきに周二が冷静な意見を出す。

「だったら如何すれば良いんだ……このまま他の国へ行ったとされる皆さんを待つしか無いんですかね、やっぱり」

令次が頭を抱えたその時、コンコンと部屋のドアをノックする音が。

「はい?」

しかし和美の問いかけに返って来た声の主は、驚くべき人物だった!!


Run to the Another World第13話へ

HPGサイドへ戻る