Run to the Another World第113話


「まぁまぁだな。それじゃ次は攻撃の回避だ。サエリクス、頼むぞ」

「分かった」

ハールに頼まれ、今度はハールのパンチをサエリクスが避ける。

「これは基本的な動作のスウェーだ。ガードするのでは無く、こう言う感じで上半身を反らせるんだ」

『なるほどな……我輩にも出来るか?」

「反射神経が大事だな。伝説のドラゴンと言うだけあって度胸はある筈だから、すぐに慣れるだろうよ」

サエリクスのスウェーを見てから、アサドールもやってみる事に。


まず最初はゆっくりとワン・ツー。その後にゆっくりとハールが左のパンチを出すので、

それをアサドールは屈んで避ける。

「今の動きが基本だ。上半身を反らせて、屈ませて避ける。ガードしても良いけど

基本は避ける方向の防御になるから、身体の柔らかさと揺さぶりに負けない内蔵の強さが重要だ」

『分かった』

その後は色々な回避のパターンを試し、反射神経を養うと同時に防御を身につける。

時にはパンチだけでは無く、キックの回避もスウェーを使ってやってみたりもする。

更にはサエリクス、それからハール、そして和人が3人掛かりでゆっくりとアサドールに向けて

攻撃を繰り出して行く。敵は何人で襲って来るか分からないし、1対1とも限らないからなのだ。


そうしてボクシング講座は一通り終了し、それからは各自筋トレに励む。

勿論アサドールも例外では無い。

長く生きてきたと言うだけあって、接近戦が苦手でも足の筋肉は車や電車等がある地球人とは

違い、余程歩き回る時間が長かったのであろうか結構発達している。

だがその反面上半身は腕も細いし脂肪もある。弓を引く分広背筋は発達している様なのだが、

アサドールの身体をチェックした恵と流斗曰く、アサドールは下半身に重点を置いてトレーニングを

した方が良いだろうと言う結論に達するのであった。


なのでそのアサドールの特訓メニューは上半身を鍛えるメニューが30パーセント、

下半身のメニューが70パーセントと言った具合である。

腕立て伏せから始まり、腹筋と背筋も鍛えなければならないし首にも筋肉が

あるのでそこも鍛えておかなければならないであろう。

ちなみにムエタイでは首相撲と言う首の筋肉が最も重要な技が存在するので、

それを習う時がもし来た時の為に、今から首の筋肉も鍛えておいた方が良い。

首の筋肉を鍛える方法も幾つかあるが、手っ取り早いのは首の後ろを

両手を組んで押さえてそこから首の力を使って押さえ込む手を押し戻して行く。

見た目的には地味であるが、1人でやるトレーニングの代表的な物であるのだ。


そして誰かトレーニングパートナーが居る場合には、首を鍛える方が地面に

四つんばいになってその四つんばいになった人間の頭をもう一方の人間が

抑えると言う方法がある。それ以外でも鍛える方の頭の上に座って首の筋肉を

鍛える事もあれば、1人で出来る特訓ではタオルを頭に巻いてそのタオルを片手で引っ張りつつ

首の筋力で負けない様にする特訓もあるし、逆立ちやブリッジを手を使わずに首の力だけで支える

バージョンで鍛える事も出来る。こうした色々なバリエーションの特訓もあるので、それを

アサドールに教えつつ一同の筋トレは進んで行った。

そして今まで習った事の復習。しっかりとワキを締め、ハールの手に向かって素早いパンチを繰り出す。

それからサエリクスからはジャブ、ストレート、アッパー、スウェーのコンビネーションも習得する。

「コンビネーションはやって行く内に覚えて行くと思うし、色々なパターンがあるから自分で研究してみるのも

良いだろう。あくまでこのコンビネーションは1つのパターンに過ぎないからな」


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