Run to the Another World第110話


サエリクス・サウントゥルはイタリアのヴェネツィア出身の35歳。

ラテン系の民族である彼は幼い頃からやんちゃな性格であり、

ガキ大将として暴れまわっては親や近所の人々を困らせていた。

そんな性格からなのか、とにかく人と競い合う事に関しては負けず嫌いな

性格でもあり何でも自分が1番にならないと気が済まない面を持っていた。

そして「闘う事」に関しては人一倍執着心が強かった為もあるがそんな

サエリクスを見かねた父親がやんちゃな性格を少しでも意味のある違う方向に

使って欲しいと言う事で6歳の時から近所のボクシングジムにキッズクラスの

生徒として通わせ始めた。


これがサエリクスの才能を開花させ、ヤンチャなそのパワーをボクシングに

ぶつける事でめきめきと腕前を上達させて行く。

更に彼はボクシングだけに飽き足らず、その近くに存在していた空手道場にも

通い始めてこちらでも思う存分身体を動かす事が出来た。

その上で、有名なカンフー俳優のビデオがヨーロッパに出回っていた事もあり

そのビデオを見た彼はカンフーにも興味を覚え、自宅からは少し遠かったものの

八卦掌と呼ばれる珍しい武術を習う事の出来る道場が存在していた。


その道場には10歳の頃から通い始めて、そのまま習い続ける事5年。

ボクシングと空手と八卦掌の3つの掛け持ちは非常にきつかったが、それを彼はやり遂げた。

だが15歳の時にボクシングジムがオーナーの破産によって閉鎖となってしまい、

更に追い討ちをかけるかの様に空手道場が同じく経営難で閉鎖となってしまう。

なので残った八卦掌を続ける事にしたのだが、中学のクラスメイトから聞いた話で

インドネシアやマレーシアの武術として名高いシラットのスクールが学校の帰り道に

開設される事を聞いた彼は早速そのスクールに申し込みに行った。


そのシラットを習い始めて3年、18歳になった彼はイタリア陸軍に志願する事を決める。

現在では廃止されているものの、元々イタリアには徴兵制度が存在しており

20歳〜21歳位に国民が徴兵されていた歴史がある。

イタリアでは該当学年の12月31日までに6歳になる年から小学校5年、

中学校3年で高校が5年となっており、自分が住んでいる地域の高校に通うのが

普通のスタイルの為に受験等とは全く無縁だった彼。そんな彼は脳筋スタイルに

なっていた事もあり、元々進級や卒業が難しいイタリアの学生生活の中ではかなりの

苦汁を舐めて来た。


だからこそ一旦すっぱりと格闘技を休止してまで猛勉強をし、自らイタリア軍に

志願する事で闘う事に子供の頃から意義を見出して来た彼は何とか軍の試験を

突破する事に成功した。

軍に入ったのも「格闘技以上の強い奴と戦えそうだから」との理由だったが、軍人である以上規則や規律と

言った物には従わなければならず、そのストレスを対人術の訓練の時に発散させている。

それ故にやり過ぎてしまう事も多く、たびたび教官から注意を受ける事もあった。

今では丁度3年前から陸軍大尉の位に就いている。今でも相変わらず戦いが大好きな男であり、

ヨーロッパチームの5人中で最も熱くなってしまいがちな性格でアイトエルやジェイノリーに良く止められており、

最近は自分の戦い方に新たなスタイルを加えようと休日のトレーニングとして武術太極拳を学んでいる。


Run to the Another World第111話へ

HPGサイドへ戻る