Run to the Another World第109話
そしてバブル崩壊はしたものの堅実にコツコツと貯金をしていた流斗は、1997年8月に新車で
出たばかりの2代目JZS161アリストを新車で購入する事が出来た。
クラウンもそれなりにチューニングしていたが、そのチューニングしたクラウンなどノーマルでもあっさりと
抜き去ってしまう位のパワーと4ドアセダンの実用性を兼ね備えたこの車はまさに流斗のニーズに
ぴったりの車として満足する物になっていた。
最上級モデルのベルテックスエディションと言う事もあり新車価格で450万円したのだが、貯金を
崩してもローンも残る事も無く買う事が出来、クラウンを下取りにも出してそのパワーに酔いしれながら
首都高を走り回る日々が続いた。
そうしてまだ残っていた貯金を少しずつ使いながらアリストをチューニングしつつ3年。
1999年に首都高がサーキットとして生まれ変わってから1年が経った2000年。
彼は兼山信也に弟子入りし、首都高サーキットの新環状線を取り纏める存在の
ゾーンボスの1人に選び出される程の実力を持つまでになっていた。
そしてその頃にはチラホラと噂になっていた、当時首都高デビューしてまだ間も
無かった宝坂令次の噂を聞いていた事もあり、何時か彼とバトルして見たいと思っていた。
結局その願いは叶わなかったが、翌年の2001年には首都高の伝説のチームとして
知られているサーティンデビルズのチームメンバーの1人に選ばれた。
だがその後は和人や恵と同じくまずは宝条京介に敗北し、次の山下緒美に
サーティンデビルズ解散後の2003年に敗北し、新たなステージを求めてC1グランプリへと
出場した流斗は和人と恵と一緒にランクCのマスターの1人としてランエボを提供されて
走っていたもののここで今度は白石瑠璃に敗北。そして街道サーキットへと走りに行く時の
為にほんのちょっとだけ小さくほんのちょっとだけ小回りが利くヴェロッサを購入して走っていたが、
ここで今度は野上竜介に敗北。ヴェロッサもその後に売り払って再び首都高サーキットへと
戻ったが、成長した早瀬瑞穂に敗北して現在に至る。
ちなみに栗山と岩村とは異世界に一緒に来た事からも分かる通り今でも交流が続いており、
彼等を走りの世界へと引き込んだのは流斗である。
その栗山と岩村は引退してしまったが、流斗だけは今でも現役で恵と同じく首都高サーキットを
アリストで走り回る日々なのだ。だが、実を言えば2000年にゾーンボスに選ばれた30歳の時から
始めた趣味がもう1つ存在している。それが同じく関西出身であり、車もアリストの2ドアバージョンとも
言うべき存在のJZA80スープラに乗っている百瀬和美に出会った事から始まった。彼女が武術の
使い手だと聞いた流斗は、何か体力維持と動体視力を継続出来る様な趣味を探していると彼女に
伝えた所、それだったらカンフーが良いわよと勧められて和美の弟子になる形でカンフーをやり始めた。
カンフーと言っても流派や型等が色々あるし、全てのカンフーを和美も把握している訳では無いので
色々な流派や型をミックスさせた物を彼女からもう今年で14年習っている。
それがまさか、今こうして何の因果か分からないままトリップしてしまった異世界ヘルヴァナールにおいて
役に立つ時が来ようとは流斗自身夢にも思っていなかった。
ファルス帝国では謎の侵入者を尾行していた上に、大広間に置いて金色の鎧を着ている謎の集団と
カンフーで格闘を繰り広げていた事もあって、あの時カンフーを習い始めた自分とあの時からカンフーを
教えてくれている和美に感謝の気持ちで今は一杯だった。
和人とは相変わらず車の趣味や格闘スタイルの違いで確執があるものの、同じチームメンバーと
なってしまった今は確執を封印してアクセサリーの回収に全力を出すつもりである。
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