Run to the Another World第2部プロローグ5


「異世界人ねぇ……私も横で聞いていた時は信じられなかったけど、

良く良く神経を集中させると魔力が無いのがわかるわ。そっちのドラゴンの皆さんのせいで、

凄く近くまで寄らないと魔力が無いのに気づけないけどね」

異世界人達とドラゴンの説明を長々と受けて、メモを取りながら女は

理解出来た様な理解出来なかった様な表情だ。

「だから私達はこうして旅をしているんだけどね……」

めんどくさそうな表情で和美がぼやく。これからそれぞれのグループがそれぞれの国を

回っていかなければいけないのだが、正直土地勘がゼロなのだ。

『僕等もこちら側は自分達の別荘である遺跡の事位しか知らないんだよな……』

シュヴィリスが細かい所迄はサポート出来ないとばかりに、和美と同じくぼやく。


だが次の瞬間、女がとてつもない事を言い出した。

「だったらその旅に、私を連れて行くって言うのはどうかしら?」

「……えっ?」

きょとんとした顔で淳が聞き返す。

「世界中を回って来たし、それぞれの国の内部事情についても

詳しいと言う自信はあるわ。だったら大陸の事情に詳しい私を

連れて行った方が良いと思うけど、どうかしら?」

女が自分を売り込む為にアピールして来る。


そこにこんな疑問を博人がぶつけた。

「俺達はさっきも言ったがカシュラーゼの奴等から追われる身なんだ。

それにもしかしたらこの先、こっちの国に目を付けられる可能性もある。

だから危険も絶対伴うと思うぜ。それでも良いのかよ?」

博人のその問い掛けに、女は首を縦に振った。

「危険を怖がってたらかれこれ5年も旅をして無いわよ。大陸の端から端迄

何往復もしてるし、カシュラーゼだって勿論行った事あるわ。

実際にトラブルに巻き込まれた事だってあるし……。そこはもう覚悟の上よ」


女の強い瞳に異世界人達もドラゴンも折れた。

「わかった。そこ迄言うならついて来いよ」

孝司が承諾し、最後にハリドが女に質問をぶつける。

「ところで君の名前は?」

「私はエスティナ。よろしくね、異世界人とドラゴンの皆さん」

こうして今度はエスティナと名乗った女がメンバーに加わり、新たなミッションとしてそれぞれのドラゴンの

別荘があると言うそれぞれの国々にそれぞれのドラゴンと一緒に5人ずつ向かう事になる。

ヨーロッパの5人組に関してはとりあえずジェイノリーが寄せ集めサーティンデビルズと、エスティナが

レーシングプロジェクトと、ハリドがSpeed Produceと、アイトエルがデストラクションパフォーマーズと、

バラリーがBe Legendと、サエリクスがMaster'sと一緒のドラゴンに相乗りさせて貰う形でついて行く事になった。


だがその前に、エスティナから各国の情報をあらかじめ聞いておく。やはり旅人と言うだけあって知識も

若いながらに豊富なので、何も聞かないで行くのと聞き出せるだけの事を聞いてから行くのでは大違いだ。

そして、ドラゴン達の秘密に関しても事情を知らないメンバーに、事情を知っているメンバーがあの紫の薬を見せつつ説明。

「要するに、その薬を使えば人間になれるって事か」

『そうだ。何時も我輩達は何本かストックを持ち歩いているからな』

髪の色からそれぞれのドラゴンの色が判別出来るので、それぞれ別々になる前に改めてドラゴン達の名前とそれぞれの職業を

色と一緒に教えて貰う事にした。

『灰色のセルフォンだ。人間の時の某の職業は医者』

『白のタリヴァルと言う。我は料理人をしている』

『僕は青のシュヴィリス。宜しく。画家をしているから割と自由だよ』

『グリーンドラゴンのアサドール。我輩は学者だ』

『黄色いドラゴンは私、グラルバルトだ。武術道場の経営者だ』

『赤い俺様はエルヴェダーってんだ。普段は貿易商をしているぜ』

その後異世界人の名前も分からないと不便だろうと言う事で、35人も1人ずつ前に出てドラゴンに自己紹介を済ませてから出発する。

次はヘルヴァナールのまだ行っていない国々らしいが、果たしてこの先に一体どんなドラマが待ち受けているのであろうか!?


Run to the Another World第61話へ

HPGサイドへ戻る