Run to the Another World第2部プロローグ4


「あれ、それじゃあ残りの2チームは?」

そう問いかける浩夜に淳が手を上げる。

「俺達5人はそのままBe Legend繋がりで良いんじゃないか?」

黄色いドラゴンに選ばれた5人はそれでどうやら納得した様だが、納得出来ないのは

灰色のドラゴンに選び出された残りの1チームだ。

「それは良いけど……俺達は?」

大塚が他のメンバーに問いかけるが、博人が冗談めかした口調でこう言った。

「案外寄せ集めだったりして。寄せ集めサーティンデビルズ、なんてな」


しかしその発言に他の4人が同調する。

「あるかもしれないわね、それ」

「ああ。サーティンデビルズに俺達全員入ってたな」

「時期は違うけど、メンバーだった事実は変わり無しだしなぁ」

「それで良いと思うぜ。寄せ集めサーティンデビルズ」

まさかの他の4人の反応に冗談のつもりで言った寄せ集め、と言う博人の案がそのまま

採用され、当の本人である博人は何とも言えない複雑な表情をするのであった。


そうしてその流れでハリドもこんな事を言い出す。

「ついでに俺達ヨーロッパの連中も決めようと思うんだが」

そこに入って来たのがサエリクスだ。

「なら、EU圏のメンバーだから「European Union Fighters」ってのはどうだ?」

「ほう、悪くは無いな」

アイトエルもそれに乗っかり、チーム名が決まったので後はリーダーを決めるだけだ。

「リーダーだが、俺はこの日本旅行に誘ったハリドを推薦する」

「俺もそれが良い。日本では通訳も案内もしてくれたからな」

そのジェイノリーとバラリーの意見が通り、European Union Fightersのリーダーはハリドになった。


こうしてドラゴンのメンバー選出の謎が解け、チーム名やリーダーの決定も済んだので次の謎に話題が移る。

「じゃあ次だけど、ここに俺達が呼ばれたのはまたあの声が原因で呼ばれたって事になるんだろ? 目的は何なんだ?」

実際にはその声に聞いた方が良いのだろうが、それでも我慢し切れずにサエリクスがドラゴン達にその疑問をぶつける。

『俺様達に聞かれても困るぜ?』

『ああ、僕達も声に従ってこうして君達と一緒にここに来たんだから』

『某達も訳が分からないんだが……』

ドラゴン達にとっても不思議な体験だったのだ、分かる訳が無いだろうと言っていたその時だった!

『どうやら、全てのドラゴンと波動が合ったらしいな』

「おっ!?」

「あれ、この声って……!?」

何と光と共に聞こえて来たあの声が再び聞こえて来る。

『なぁ、この声は……』

『ああ、間違い無いだろうな』

ドラゴン達も何かに納得している様だが、構わずその謎の声は35人とドラゴン達に向かって続けた。


『あの武具はどうやら謎の集団に取られてしまった様だが、それでも良くやってくれたぞ』

「そ、それじゃあ俺達を……」

ワクワクしながらジェイノリーが次の言葉を待ったが、次の瞬間35人の期待は

虚しくも裏切られる事になってしまうのであった。

『元の世界に帰してやる……と言いたい所だが、どうやらそうも行かなくなった様だ』

「へっ!? な、何だって!?」

思わず大声を上げるアイトエルに更に声は続ける。


『既にチラリとその6色のドラゴン達から聞いている様だが、今御前達3つのグループが居たそれぞれの

国の奴等はそのドラゴン達の力を利用してこの世界の実権を握ろうとしているらしい。まだ地図を持っていたら

確認して欲しいのだが、御前達が居た3つのそれぞれの国の周りにまた違う国が6つある筈だ』

謎の声のその言葉通り、地図で確認してみるとそれぞれの3カ国の外側に合計6つの国があるのが分かる。

「まさかとは思うが、その国々はこの5匹のドラゴンを支配下に置いてこっちの国々に……?」

『察しが良いな』

ハリドの予想はどうやら当たった様で、ファルスもバーレンもシュアもこのドラゴン達を支配して外側の

国々に戦争を仕掛ける気だった様である。

「だけど俺達の登場でその計画も狂った訳だ」

心底納得した様に博人が呟き、短い時間ではあったが今迄の修羅場だった事を思い出す。

「だから俺達にドラゴンの事を調べて欲しく無かったんだな」

「そうらしいですね。俺達もドラゴンの事は調べるなときつく言われましたし」

「だから私達にあんなに躍起になってまで調べられるのを防ごうとしてたのね」

ファルス帝国でセヴィストにドラゴンの事を調べるなと言われた令次や和美達も、謎の声のその暴露話に納得した。


「んで? 俺達に今度は何かさせるつもりなんだろ? また」

「大体予想はついてるよ。その外側の国々に行って、この話を全部ぶちまけて来るとかそう言う事だと思うんだけど違うかな?」

若干諦め気味の淳とハールが、これから自分達は如何言う事をするのかと言う事を予想して謎の声に向かって問い掛けるが、

それはどうやら半分間違いで半分正解だった様だ。

『外側の国々に行くと言う事で半分は正解だ。残りの半分は違うぞ。まだ余と会う為に必要なアクセサリーを回収しなければならない』

それにピンと来たアイトエルが先を読む。

「あー、何か最初もそんな事言ってたな。つまり、俺達はそのアクセサリーの回収に行けと?」

『そうだ。御前も察しが良いな。そのドラゴン達の住処に行くのだぞ』


だったらすぐにでも出発しよう、と言う事でそれぞれのドラゴンの背中に乗り込もうとする

35人だったが、そんな35人に後ろから声が掛かった。

「ねぇ、ねぇ……私の存在、忘れて無いかしら?」

その問い掛けに一斉に35人とドラゴン達が振り向くと、そこには彼女が自分で言っている通り

今迄すっかり存在を忘れられていた、ここ迄旅人としてやって来た女の姿が。

「何かすっごく色々な事を横から聞いたんだけど、私に聞かれて大丈夫だったの?」

「あ……」

孝司が苦々しい顔つきになる。それもその筈、これから迅速にアクセサリーの回収をする為に

なるべく目立たない様に行動しようと思っていた。なのにこれでは台無しでは無いか。

とりあえず聞かれてしまった以上はしょうがないので、一旦ドラゴンに乗り込む前にこの洋館の前で今迄の事を

口外しないと言う条件でこの女に話す事にした。


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