Run to the Another Worldプロローグ3


『それが終わったら、今度は違う国に向かって封印を解く為のアイテムを集めて欲しい』

「まだ他にも俺達がやらなきゃいけない事があるのかよ!?」

心底びっくりした様な弘樹の声にも声の主は動じない。

『そうだ。この世界には今現在9つの国がある。そしてその内の3カ国にドラゴンが

2体ずつ居る。アイテムの事に関しては見つけたドラゴン達の指示を仰ぐ様に』

「無茶苦茶だぜ……」

他人事の様に言われる自分達に、うんざりした様子で大塚が肩を落とす。

『そのアイテム全て集めたら……と言うよりも、アイテムを全て集めなければここには戻って

来られないからだ。そのアイテムを全部集めるまで、御前達を元の世界に返す訳には行かない』


「……良い加減にしろよ!!」

ハリドが切れた。

「俺達を勝手に呼びつけておいて、何をさせようって言うんだ!!

勝手な事ばっかり言いやがってよ! 俺等だってそんな暇じゃねーんだ!」

それに続いて陽介も不満げだ。

「そーだよ。俺等の内、殆どの奴は明日も仕事だぞ。俺等にだって生活があるんだ」

「そうそう。御前の勝手な頼みなんか付き合ってられない!」

陽介に続いてアレイレルも同じ考えを漏らした。


だが、声の主は35人にとって意外な事を言い出す。

『要するに、向こうの世界に帰る事が出来た御前達の生活に支障が出ない様にすれば良いのだな?』

「いやそう言う問題じゃなくて……」

『だったら話は簡単だ。御前達がどれだけこちらに居ようと、御前達を呼び寄せた

向こうの時間から1時間後に向こうの世界に戻してやる。それからこちらの世界で

年を取っても、向こうではそれ等の記憶を残したまま 肉体だけを同じく1時間後の

状態に戻してやる。 これだったら問題は無いと思うが、どうだ?』

ジェイノリーの言葉を遮って、声の主はそう一気に条件を出して来る。


「……じゃあこっちからも条件を出させてくれないか」

『何だ?』

「いきなりこの世界に放り出されて、右も左もわからない状況でいきなりやれってのは不可能だ。

俺等だってスーパーマンじゃないからな。だからまずはこの世界の地図。それから十分な食料。

後はそれぞれが戦える様に武器、 そしてしょっぱなからそのドラゴンが居る所への転送。それをお願いしたい」

しかし、バラリーの条件に声の主は難色を示す。

『前の2つは可能だが、後の2つは無理だ』

「何でだよ?」

哲の疑問に、声の主はまさかの理由を出して来た。

『……まず武器だが、とある事情があって御前達に与える事は出来ない。

下手をすれば死ぬ確率もある。 この世界の何処かにある武器ならば御前達が扱う事も可能だが』

「武器で死ぬ……? 俺等の何人かはそんな素人じゃないぞ?」

『そう言う訳では無い。この世界特有の武器の作り方がある。御前達はそのせいでこの世界では

武器を扱う事が出来ない。だから身の回りの物で戦う様に』

サエリクスの疑問に、何とも意味深な言葉で結論を出す声の主。


『さて次の転送についてだが、これは御前達が会いに行くドラゴン達が関わって来る。

その前に……御前達は幾つかチームを分けている様だが、それぞれ波動が違う様だな』

「は……どう?」

何かの宗教か? と思った周二をさておき声の主はまたも意味深な事を。

『結構多くのチームがある様だな。波動が御前達からは見える。しかしそれとはまた別の問題で、

ドラゴンは人間になる事も出来る。だから今は人間の姿になって生活しているドラゴンも居るだろうが、

正直に言えば今そのドラゴン達が何処に居るのかが分からない』

「それで……、そのドラゴンと俺達がどう関係して来るんだ?」

アイトエルの最もな疑問に声はこう答えた。

『余は今、封印されてしまっている身なのだ。余を助けて欲しい。御前達異世界の人間の協力が無ければ、

余を封印している場所に辿り着く事が出来ない。これは御前達の体質が重要なポイントなのだ。

……話が長くなったな。余り時間も無い。では出発して貰おう』


その言葉が終わると同時に、メンバー35人全員がまた光に包まれる。

「うわああああああ!!」

「く、くそおおおおお!!」

「何でだよーーーっ!!」

「いやあああああっ!!」

「うおあああああ!!」

それぞれの叫び声を巻き込みつつ、武具とメンバー全員はまたその場から消え去った。


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