FCOバトル・イン・ジャパン!! 9


「みなとみらい?」

「そこが奴らの本拠地か!!」


未来的なウォーターフロント地区であり、横浜市西区の沿岸部に所在し、東京湾横浜港周辺の埋立地がほとんどを占める。

2000年以降、東京に集中した首都機能を分担する形で都市開発が進んだ。

様々な公共施設が点在し東京に次ぐ首都化が進んでいるそんなみなとみらいが、次の戦場になろうとしている。


「あいつらの拠点……あそこしかないらしいな」


真治がセスナのパイロットから聞き出した、今回の事件の主犯がいるといわれている場所。

それは地上70階、高さ296メートルの超高層ビル、横浜ランドマークタワーだった。

横浜のシンボル的な存在として知られ。超高層のタワー棟を中心とするオフィス、ホテル、ショッピングモールを核に、展望フロアや多目的ホール、さらには石づくりのドックを復元活用した広場など、多彩な施設を併設しているこの場所は、裏を返せばそれだけ操ることのできる人間が多く行き交う場所でもあるということだ。


「雲まで届くんじゃねえの? このタワー」

「まさか。ニューヨークの超高層ビルと比べるとまだまだだ」

「それは確かにそうだが……お前さんはここに入ったことはあるのか?」


クレイグの質問に、真治は首を縦に振った。


「何回かだけだ。普段は特に用事もないから来ることもない」

「そうか……でも、このランドマークタワーっていうのは何があるのかぐらいはわからないか?」

「全くと言っていいほど知らない。俺だって横浜が地元ではないからな」


だからこそ用心して進むことができるだろう、とFCOの二人に言っておく真治は、意を決してランドマークタワーの出入り口に向かって歩き出す。


「じゃあ……ここで最後の決戦だ。長丁場になるかもしれないが行けるか?」

「もちろんだ」

「大丈夫だよ。じゃなかったら俺たちもここまで来てねーし」


彼に続いてクレイグとエレスも、どちらからともなく歩き出した。

ここで最後の決着をつけるために。

その強い決意を秘めて踏み込んだランドマークタワーの中は、操られている人間だらけで地獄絵図の様相を呈していた。


「何だよここ……もうすでに操られてる奴ばっかじゃん」

「確かに。だが、それだけに操られていない人間がいなさそうということだろう」


ここのタワー棟ではまず1階から5階までが「ランドマークプラザ」として様々なショップが運営されている。

6階と51階にはそれぞれ機械室があり、7階は各種病院の入っているクリニックフロア、8階から48階までは各会社のオフィスフロアとなる。

更に49階から68階までは「横浜ロイヤルパークホテル」と呼ばれる「日本で一番高い場所にあるホテル」というのを売りにして景色が楽しめるホテルが存在している。

そして69階まで上がると、有料ではあるが展望フロア「 スカイガーデン」がある。

絶景の観光スポットとして知られるその場所にも、その能力犯罪者の魔の手が及んでいることは容易に想像できるので、三人は気を引き締めてまずは約40秒で69階に到達できるエレベーターで一気にそのスカイガーデンまで向かおうとしたのだが……。


「あれ? エレベーターが動いていないぞ?」

「おいマジかよ!?」

「これはエレベーターの差動装置があるかもしれない機械室も乗っ取られている可能性があるな。となると……」


親から貰った足で、最上階まで上るしかなさそうだな。

その真治の言葉に、一番げんなりしたのはエレスだった。


「げぇ、嘘だろ……オッサンとお前はいいけど、俺そんなに体力に自信ねえぞ」

「そう言われてもな。何だったら私か真治がおぶってやろうか?」

「……そこまでされたくねーよ!!」


そんなのエージェントとして最悪だぜ!! と彼なりのプライドがあるらしいエレスは、これから先の長丁場の戦いと移動に急にやる気を見せ始める。

以前には「横浜ランドマークタワー登頂イベント」という階段でランドマークタワーを上るイベントもやっていた。

エレスのやる気も出たところで普段は使えない非常階段を使いつつ、たまにその非常階段に現れる敵を倒しながらタワーの最上階に向かって進み始めた三人だが、やはり日本ならでは……一般人が銃火器を携帯することが許されていない状況はチャンスだった。


「らっ、らあ!!」


銃火器以外……それこそカッターナイフなどを始めとする武器を持ってやってくる敵たちを非常階段で迎え撃つのは、主にクレイグと真治である。

手技、足技、投げ技、関節技を主に駆使し、狭い階段での戦いだからこそ必然的に近接格闘戦になるのを利用しながら、二人を中心にして必死に敵を倒しながら先へと進んで行く。

そしておよそ一時間弱の戦いを経てようやくたどり着いた、70階に位置する横浜ロイヤルパークホテルの「スカイラウンジシリウス」に、その男が待ち構えていたのである。


To be continued...


次の話

HPGサイドへ戻る