FCOバトル・イン・ジャパン!! 6


三人はお好み焼きを堪能し、FCO日本支部からの連絡を待つとともに今回の能力犯罪者についてもっと情報を仕入れることにする。

中華街の近辺ではパニック状態が続いていてとても聞き込みができるような状況ではなかったのだが、少し離れたこのお好み焼き屋が入っているスカイビルとその周辺……横浜駅周辺であれば、数多くの人間が行き交っているので何かしらの手がかりが手に入るはずだとクレイグが提案したからだ。


「それじゃあ私たち三人で手分けして聞き込みをしよう。お前さんはこのスカイビル周辺、俺は横浜駅の東口、エレスが西口周辺で聞き込むぞ」

「わかった。じゃあ何かあったら連絡してくれ。お前にも俺たちが使っている予備のインカム渡しておくからさ」


まるで刑事みたいなことをしている三人だが、FCOのエージェントたちの中にはそれこそ警察あがりもいれば特殊部隊含む軍人あがりも数多く存在している。

いずれもアルバートを始めとしたFCOのメンバーたちにスカウトされたり、それなりに厳しい面接や試験を通って合格した者たちばかりであるのだが、あいにくこの三人は全員警察あがりではないので聞き込み捜査には余り慣れていないのが実情であった。

それでも今回の事件はなかなか規模の大きなものらしく、少し聞き込みをするだけで情報が入れ食い状態で集まっていく。

三十分ほどの情報収集によって、合流した三人がそれをまとめてみると自ずと次の目的地が決定する。


「山下公園の方に向かって、黒いローブを纏った怪しい集団が十人ほど向かって行ったって話だ」

「それだと俺たちが最初に向かった中華街の方にならねえ?」

「それはそうだと思うが、とりあえず行ってみないことにはわからないだろう。ということでお前さんにはまた道案内を頼むぞ」

「ああ」


山下公園は、神奈川県横浜市中区山下町にある公園。

東の隣接地に山下埠頭が造成されており、横浜港内クルーズ といってクルーズ船による大さん橋に山下公園、ベイブリッジ、みなとみらい地区を巡るロマンティックなクルーズが楽しめることでも知られている。

そんなロマンティックな雰囲気をぶち壊しにするような集団の存在は断じて許すことができない三人は、とにかく山下公園へと急行したのだが、そこではまさかの相手が待ち構えていた。



 ◇



「くっそ……ここの人間たちも操られているぜ!」

「中華街と同じ要領で倒していこう。ただし私と真治はいいとしてもエレス、お前は一層気を付けなければならないのは頭に入れておけ!」

「ああ……感電だよな」


たどり着いた山下ふ頭。

ここで働いている作業員たちも操られているのか、その手に大型ハンマーだの鉄パイプだのチェーンソーだのありとあらゆる武器を手にして襲い掛かってくるのだ。

とどめに、港湾作業で使っているフォークリフトに乗ってそのまま突進してくる連中もいたりと派手な歓迎である。

それにクレイグの言うことはエレスにもわかる。

自分は雷の使い手の能力者だからこそ、先ほどホースの水を使って中華街を制圧した時にも感じたのだが、こうした水場周辺で活動する時には感電に気をつけなければならない。


「しっかし、こんなに広範囲で一般人を操っていったい何を考えてんだよ!?」

「自衛隊とか警察でも対処のしようがないのでは?」

「お前さんの言う通り、向かっていったところで操り人形になるのがオチだろうな」


FCO本部や日本支部に連絡を入れてみるものの、動きが素早いのかなかなか能力犯罪者たちの詳しい情報は集まらない。

しかし中華街だけではなくこの近辺までこんな異常事態になっているということは、もしかすると他の地区でもそうした例の能力犯罪者たちが暗躍している可能性が非常に高い。


「ローブ姿の集団はいるか!?」

「いや……俺は見えないな。クレイグはどうだ?」

「私も見当たらない。お前さんもエレスも見えないとなると、近くでこの状況を見てせせら笑っているか、それとも荒らすだけ荒らしてどこかに行ったかかな!?」


当初はただの愉快犯でこんなことをしでかしているのだろうと考えていたクレイグとエレス。

しかし中華街にたどり着いてみれば、日本支部のエージェントたちがなすすべなく殺害されてしまっていた。

更に中華街にとどまらず、山下公園周辺にまでその被害が及んでいるとなればこれはただの愉快犯ではないだろうと思い直すしかない。

何かしらの目的があってそういうことをしでかしているのだろうと考えながら山下ふ頭を制圧していく三人だったが、その時FCO日本支部から次の目的地に関する連絡が入ってきた。


To be continued...


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