FCOバトル・イン・ジャパン!! 5
「昼メシ……お前たちの好きなものは何だ?」
「私は肉かな」
「…根菜」
「真逆だな」
「何でもいい」と言われたりすると困ると考えていた真治だが、さらに困る回答がこうして二人の口から出てきてしまったので、ではどうするかと腕を組んで考える。
ハンバーガーなどのファーストフードでは腹もいっぱいにならないだろうし、何よりこの昼メシ時なのでそれこそ行列ができている可能性が非常に高い。
「うーん……そうなるとどうするか……」
考えに考えた末、ここから近くてすぐに食べられそうな場所を一軒思いついた真治は、CPV35でこの場所へと向かった。
「ここは?」
「OKONOMIYAKI?」
「ああ。これだったら自分で焼いてすぐに食えるはずだ」
三人がやってきたのは、横浜駅からすぐ近くの場所にある「お好み焼 ゆかり」。
「ゆかり」の社名の由来は人と人のつながりを大切にする「縁」からつけられた。大阪の粉もん文化を代表する「お好み焼」をプロの指導を受けながら、最初のお好み焼を混ぜる所から最後のソース、マヨネーズの仕上げまでを楽しみ、自分で作った最高の「お好み焼」を体験できる。
そんなお好み焼きについて、アメリカとイギリスからやってきた二人は初めての経験なので、真治が簡単に説明する。
「お好み焼きは日本のピザみたいなものだ。油は控えめだけど肉は入っているし野菜も摂れる。二人は食べるのは初めてか?」
「言うほど似てるか…?」
実際にメニューの写真を見て首を傾げるエレス。
油っこいものが苦手な彼は、お好み焼きについては苦手意識が強いようである。
そんなエレスにクレイグがこんな一言を。
「いらないのならもらうがな」
「食べないなんて言ってないだろ!」
せっかく誘ってもらったんだし……と言いながら、肉類が入っていないらしい「もちチーズ焼」を注文するエレス。
しかし野菜も食べたいので「和風サラダ」も一緒に注文しておく。
「じゃあ私は肉がたっぷり入っているのにしておこう」
クレイグは肉が大好きなので、定番の「国産豚玉」を注文する。
真治はこの先も戦いがあると感じ、ここは麺が入っていてガッツリと食べられる「ゆかり風広島焼」で腹を満たすことにしておく。
「いつ出動になるかどうかわからないけど、せっかくだからお前たちも焼いてみろ」
「えっ、俺たちも焼くのか?」
「何事も経験だろう。戦場も日常生活も」
「お、おう……」
真治の言葉に妙に納得したエレスから、真治に教えてもらいながら焼いてみる。
しかし……。
「もしかして不器用なのか?」
「ああ、余り手先が器用じゃないらしいんだこいつは」
「うっせーや。お前ら俺見て楽しんでんだろ?」
「楽しいです」
「……」
クレイグにキッパリと返されて言葉に詰まるエレスは、不器用なりに黙々とお好み焼きを焼いていく。
そして出来上がったのは、不器用なりに頑張ったのが見て取れる代物だった。
「じゃあ次はお前だよクレイグ。言っとっけど、クレイグも俺のことあんま笑えねえぞ?」
「……そうなのか?」
「結構このオッサン、手先が大味なんだよ」
足技も大味なところがあるしさー。と言うエレスの横では、必死にお好み焼きと格闘するクレイグの姿があった。
「……難しいもんだな」
「だろーが。結構コツいるみたいだぜこれ」
そして出来上がったのは、エレスよりはまだ形がわかるが真治から見るとほぼ大差ないものであった。
「まあ、初めてだからな」
「そーだよ。じゃお前やってみろ真治」
「いいだろう」
日本人の真治もお好み焼きを焼くのは余り回数が多くないのだが、それでも初めての二人よりはまともな形のものが出来上がった。
「それじゃ食べよう。いただきます」
「食おうぜ食おうぜ」
「ありがたくいただくぞ」
こうして、束の間のランチタイムは過ぎていった。
To be continued...