Erudin Battle Quest第2話
「ラスタンか。よろしく。しっかし呪いねぇ・・・俺の今の状況も呪いか?」
もしかしたら今の状況は・・・・と思った栗山は、意を決してこんな質問をぶつけてみる。
「なぁ、この世界って何て名前の世界だっけ?」
そうして返ってきたラスタンの答えは、栗山に大きなショックを与えるのであった!!
「エールディンです・・・もしかして、この世界自体もあなたと違う世界なのかな。」
ラスタンはリュックに入っている世界地図を取り出し、栗山と一緒に確認する。
その時ラスタンは自分もこの地図の中のどこにいるのか分からない事に気付く。
「そうだ、僕も・・・あなたと同じだった・・・ここどこなんだろう。」
ラスタンの顔が一瞬で青ざめていく。
「えー・・・・じゃあ、やっぱ・・・」
自分の悪い予感が当たってしまって栗山はがっくりと肩を落とす。
だけどそんな事を考えたって、もうこんな状況になってしまったのだから仕方がない。
ひとまずラスタンと一緒に、栗山は状況を把握するため一旦宿屋の外へと出ることにした。
宿を取る前にひとしきり辺りを散策したラスタンは先導して栗山を案内する。
のどかな町のようで、小さな畑がついている民家が多く目に入る。
すれ違った人獣族を立ち止まって目で追う栗山にふと気付き、ラスタンは声をかけた。
「もしかして、人獣族も見たの初めてですか?」
この世界では人間の他に、人と獣が合わさった姿をしている種族がいる事を栗山に説明するラスタン。
「へー、そうなんだ。俺達の世界には人間しかいないから。他の動物もいるけど、人と獣が合わさった種族なんて見たことも聞いたことも無い」
そう考えると地球とはやっぱりまるで違うなぁ、と思う栗山。
自分自身こうして異世界トリップするとは思わなかったが、こうして違う世界にこられたのは貴重な体験だ。
だが、それ以上の危険な体験がこの後に待ち構えている事等、栗山は知る由も無かった。
そう、自分の傭兵としての経験を活かすことになろうとは・・・・。
「・・・僕、小金稼ぎをしてからじゃないと、多分仲間の元に帰れないんです。」
唐突に身の上話を振るラスタンがそのまま続ける。
「仲間の呪いが金稼ぎをして帰るっていう、変な呪いで・・・だから、この町に魔獣の討伐依頼とかがないか
酒場を覗きに行ってもいいですか?」
栗山の返事を待ちながら、ラスタンは目立つ建物を見える範囲で探す。町の建物はほとんどが平屋で、酒場と思われる
建物もその場所から容易に発見する事が出来た。
「俺行く場所無いし、別に良いよ」
と言うか今この世界で頼れるのがあんたしかいないから、と言う栗山は黙ってラスタンについていく。
と言う訳でラスタンについて酒場にやって来ると、やはりと言うか人が結構集まっていた。
地球でもそうだが、人が集まる場所と言うものはやはりあるらしい。そこでラスタンは1つの依頼に目をつけた。
依頼書が何十枚も貼り付けてあるボードから、その1枚を手に取り、ラスタンは目を通した。
魔獣討伐依頼ではなく、お尋ね者と書かれている事に珍しいと思いながらも、その次に目に入った報酬金30万ガリッドの
文字にラスタンは肩を一瞬震わせる。お尋ね者の身柄を依頼主である町の警邏隊へ引き渡せば報酬は貰えると記述してあるが、
その高額な報酬故に1人で挑むべき依頼ではないと思いながらも、依頼状の紙切れと暫く睨み合った。そこでふと栗山の存在を思い出し、
彼へ依頼書を見せながらラスタンは意を決して口を開く。
「・・・もし良かったらなんですけど、この依頼、一緒に受けてくれませんか?」
栗山はその提案を聞いて、まずラスタンにこんな提案を。
「そうだな・・・内容にもよるよな。文字は何か知らないけど読める。けどこれ結構厄介そうだ。30万・・・って事はそれなりだろうよ」
傭兵として活動していたころも、難易度の高い依頼はそれなりの金がもらえるとは言え、やはり危険なミッションだった。
それでも今はこれ以外に受ける依頼が無さそうである。
「・・・まず、相手の人数や構成、アジトの場所、戦い方・・・それ等を徹底的に調べてから作戦を練った方がいいと思うが?」
栗山のアドバイスを頭に植え込みながら、ラスタンは依頼書に目をやる。
「そうですね・・・まずはこの、警邏隊の人達に話を聞いてみましょう。」
依頼書には必ず依頼人の名前、あるいは団体名と共に住所が書かれている。
栗山とラスタンは酒場を後にして、依頼書に書いてある住所を通りがかった人に尋ね、警邏隊の活動拠点である建物へと辿り着く。
看板などは立てておらず、普通の民家と同じ造りだったが、幾分かこちらの建物の方が大きめに感じる。
「ここは・・・・」
ラスタンと一緒に来てみた所は、どうやら町の警邏隊の詰め所のようであった。
とりあえずラスタンと一緒にその建物の中に入ってみることにしたが、そこでいきなり出鼻をくじかれてしまうことになる。