Despair and hope第4話


買出しへと出かけた2人はお目当ての調味料を買い込み、続いてカリフォンの

求めるアクセサリーを売っているショップへ入る。

「そこそこの品揃えだからな、ここは」

「ふむ……」

そんな会話をしつつアクセサリーを買い求め、家に戻ろうとした2人だったが

その戻る途中に事件が起きた。


「うおあ!?」

「なっ!?」

突然、道を歩いているとやや近くで大きな爆発音が響き渡った。

「おいロオン隊長、今の!」

「ええ、行きましょう!」

休暇中ではあるが2人は皇国騎士団の人間なので、何があったのかを

確かめるべく買い物した物を持ちながらその爆発があった場所へと大急ぎで向かう。


「うわあ、こりゃひでぇ」

「確かに跡形も無いですね……」

2人は爆発現場の状態に絶句していた。大きな炎に包まれており、消火活動を

行っているが追いつきそうな気配がしない。

「私も手伝います。カリフォン隊長は人払いを」

「分かった!」

カリフォンとロオンは近くの店で荷物を預かって貰う事にして、ひとまずこの惨状を

食い止めるべくそれぞれ行動し始めた……のだったが。


「……ん?」

カリフォンがふと、野次馬の中に居る不審な人物に気が付く。その人物である水色の

髪の毛に青のインナー、更に水色のジャケットを着込んでいる若い男は爆発に

驚いている様子でも無ければ慌てている様子でも無い。

(何だ、あいつは……?)

するとその男はすっと踵を返してどこかへ行ってしまう。その様子を見てますます

その男の事が気になったカリフォンは人払いがあらかた済んだので、近くの兵士に

ロオンに伝言を頼んでからその男の事をこっそりと追いかけ始める。


(なーんか、怪しいんだよなぁ)

勿論確証は無いが、自分の直感がそう告げているのでそれだけを頼りにして

その水色髪の男を追いかけて行くカリフォン。

そうしてそのまま後をこっそりとつけて行くと、男は1件の大きな宿屋に入っていった。

(なるほどなぁ、ここの宿屋ね……)

カリフォンもその後を追いかけて宿屋へと入り、男が向かう先をつけて行く。

しかしこの後、カリフォンはとんでもない場所へと足を踏み入れてしまう事になってしまう。


「……何だ、ここ」

男が足を踏み入れて行った先はどうやらやばい雰囲気の店だったらしい。

ギャンブルの類は皇都でも行われている物だが、きちんと国から許可を受けた合法の

賭博場しか運営出来ない決まりになっている。

その証明として、店内の目立つ所……例えば入り口のすぐ傍や壁の良く見える場所に

国から許可を受けた旨を示すボードを掲示しておかなければいけない決まりになっている。

だが、ここの賭博場はそう言った物が一切見受けられていなかった。

そんなカリフォンはここの場所を脳でチェックしてすぐに帰ろうと思っていたが、1人の男が

あろう事か話し掛けて来てしまうのであった。


「見ない顔だな、あんた」

それは黄緑色の髪の毛を「わさぁっ」と言う音がしそうな位にボリュームたっぷりに頭に

盛り付けている若い男だった。

「こんな場所に何の様だ? 誰かの招待を受けたのか?」

訝しげな表情で問いかけて来るその男に、カリフォンは飄々とした口調で答える。

「いいや、俺はトイレの場所を探していただけさぁ。でもどうやらここじゃなかったみたいだ、失礼するぜ」

だが、そんなカリフォンと男の傍にさっきの男が歩み寄って来た。

「トイレの場所? さっきからうちの事を散々尾行しておいて、良くいけしゃあしゃあと言えるね?

うちはあんたみたいな男と一緒にトイレに行きたがる趣味なんか無いよ」


凄く女っぽい一人称だが紛れも無いこの男に、段々と形勢不利になって来たと確信した

カリフォンはいっその事開き直る事にした。

「そーかぁ、だったら話は単純だ。トイレの話は嘘。俺はあんたに聞きたい事があったんだ。

何であの爆発事故の時、あんたはあんなに平然としていられた? 普通の人間なら

パニックになったり雄叫びを上げたり逃げ回ったりする筈だ。なのにあんたは凄く冷静だった。

これは凄くおかしいだろ? 例えばそう……あんたがあの爆発事件に1枚噛んでる、とかよ?」

「……分かった、あんたがそう言う考えを持っているんだったらうちにも考えがある」

その男が指をパチンと1つ鳴らすと、賭博場の客としてやって来ていた客達全員およそ20人が

ガタガタと椅子を引いて立ち上がって武器を構えて来た。


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