Despair and hope第2話
その銀髪の男はカリフォンと言い、皇国騎士団の一部隊である
剣士隊の総隊長を勤める男である。熱血漢で勇猛果敢で、基本的に余り
隊長は前線に出て行かないのがバーレン皇国騎士団の特徴なのだが、
カリフォンはそんな皇国騎士団のイメージを引っくり返す程積極的に前線に
出たがる珍しいタイプとして知られている。
また、剣の腕だけでは無く馬術や体術に関しても騎士団の各部隊の中では
経験豊富なトップクラスの部類に入り、武勲の数も相当多い。
そんな熱血漢で有名な剣士隊隊長のカリフォン・ヴィディバーは、
元々旅人だったと言う過去を持っている。今でこそバーレン皇国剣士隊の
隊長を務める程の人物だが、16歳から2年間はファルス、シュア、そして
バーレンの3カ国を回って自立の為に旅をしていた。
熱血で直情的で表情が読み取りやすく、常に「自分が最強」と思っている
自信過剰な性格で、「負け知らず」とは彼の為にある様な言葉で剣の腕も一流。
旅をする上で魔物とかの戦いに備えて剣術を磨く事が何よりも大切であると
考えた彼は、14歳の時からひたすら剣術の修行に明け暮れて木剣を
振るう日々を過ごしていた。それから2年経って剣術に自信がついた彼は、
バーレンからスタートして次にファルス帝国へと馬車を使わず自分の足で
進みながら、商隊の護衛をしたり日雇いの用心棒で生計を立てて、
シュア王国に入ってそこからまたバーレンへまた戻って来た。
結果的にファルスで1年、シュアで1年過ごして戻って来た
彼であったが、ファルス帝国に住んでいた時に国主催の剣術大会に
参加しなかなかの好成績を収めた。
だが、その大会に特別参加して来たファルス帝国宰相のカルソンに
敗北した事が未だにに心残りとなっており、何時かリベンジをしたいと意気込んでいる。
またシュア王国に住んでいた時にひょんな事から知り合った現在シュア王国騎士団の
第2騎士団長のエリフィルとは、お互いに剣の腕を認め合ったライバル同士なのだ。
そんな旅人時代を過ごし、カルソンに負けた事もあって更に剣術を
磨き続けたカリフォンは18歳の時にバーレンに戻って来てから皇国騎士団の
門を叩いた。そこで彼は剣士隊の入隊試験を受けて見事突破し、騎士団での
生活がスタートする事になったのである。自分の剣に可能性を信じて、それだけを
頼りにして剣士隊の中でも目覚ましい成果を徐々に上げる様になって行った
カリフォンはその成果を認められ、5年後の23歳の時に剣士隊の隊長に任命された。
各部隊の隊長の1人として期待される若手のホープでもあるのだが、騎士団に入ってからは
馬術や部下の育成方法、戦術の勉強も勿論して行かなければいけないので
29歳になった今でも頑張ってそうした方面の勉強を続けている毎日だ。
けどやはり剣術には絶対の自信を持っているカリフォンは、どんなに日々の仕事が忙しくても
剣の鍛錬の時間を1日に1回は絶対に取る様に決めているので、その剣を使って負ける事
だけは絶対に自分のプライドにかけても許さないとも決めている。
ただ、やはりカリフォンも1人の人間なので勇猛果敢に戦うと疲れがたまるのは普通の事。
最近は任務で西のイディリークからやって来たとされる魔物の集団を討伐しに平原を
駆け回っていた為に疲れを癒す目的でロオンと休暇を取ったのであった。
「あの時の魔物はやばい位の多さだったからなー。こっちにも結構被害が出たし、最近の
魔物の繁殖力と来たら全くやんなっちまうぜー、全くよ」
「今の時期は繁殖のシーズンですからね。だからこそ気が荒くなっている魔物も多いし、
あの時の平原とかで人々が襲われるからこそこの時期の出動も多くなったりするんですよねぇ」
その任務の事を思い出してぼやくカリフォンとロオンだったが、せっかくこうして休暇を貰ったのだから
今はとにかく身体を休める事に集中する事に。
この休暇はまだ後3日残っているのでゆっくりと休むつもりでここまでやって来たカリフォンとロオン。
しかしこの後、彼等2人はとんでもない事に休暇中にも関わらず巻き込まれてしまう事に
なってしまうのであった!!