Shutoukou Express and Kaido Runners vs Stomers 2nd Stage第4話


追いかけるホープは何とか前をブロックするこのスカイラインクーペをかわしたい所だが、

そのスカイラインクーペは大きなボディを活かしている上にブロックテクニックもかなり上手いのでホープは大苦戦である。

(ただ者じゃ無いわね。かなりこう言うシチュエーションには手慣れている感じ……)

実際、ホープがこの集団に追い付いた時からずっと最後尾を走っている事からも推測出来る通り、

このスカイラインクーペは追って来る警察等をブロックする役目で何時も最後尾を走っているのだろうと

ホープもディアナも思っていた。

「早くしないと逃げられるわよ!」

「分かってる! 分かってるけど……くっ!」

スカイラインクーペをかわしたいのは山々なのだが、そのドライバーもまた必死にブロックを続けているので

状況は変わらぬままだ。


(地元じゃないから俺はライン取りやブレーキングポイントを知らない。地の利は向こうにある。

だから前に出してしまえばすぐにあの3人に追い付かれてしまうな)

それだけは何としても避けたい真治は、この大柄なスカイラインクーペのボディを活用したブロック戦法を続ける。

元々スカイラインクーペと同じく大柄なボディの日産車であるY33、Y34セドリックを乗り継いで来ただけで無く

首都高サーキットでのバトルでは壁に相手を押し付けてクラッシュさせるのが真治の得意技なのだ。

そう言う戦法でバトルして来た真治にとって、このワインディングセクションの道幅の狭さも利用したブロックは簡単だ。

(麓まで下り切ったら市街地に入るから道幅が広くなる。そこまで持たせられれば御の字だろうな)

時間稼ぎはまだ十分では無いと感じている真治は、何とか持ちこたえる為に鍛えられたその肉体と精神力の

両方を活かして軽快なハンドル裁きでスカイラインクーペを操る。


後ろではホープがイライラした口調で叫ぶ。

「ああもう、退きなさいよ!!」

そんなホープとは対照的に冷静なディアナは、ふとある事を思い出した。

「……そうだわ、確かこの先に……」

「え?」

ディアナはホープにその事をアドバイスとして伝える。

そのアドバイスを聞いたホープは苛立ちの残る顔付きを引き締まったものに変え、一旦深呼吸をしてから口元に笑みを浮かべた。

「分かったわ! しっかり掴まってなさいよ!!」

相変わらずのテールトゥノーズ状態でスカイラインクーペに追いすがりながらホープは追い抜きの光景を頭の中でシミュレーションする。

(抜くならあそこね!!)


若干アクセルを緩めてスカイラインクーペから距離を取りそのポイントに合わせてスピードを調節。

2台は右の大きく回り込む中速コーナーを抜け、路肩の木によって先の見えないブラインドコーナーになっているコの字形の左コーナーに突入。

1つ目の左コーナーの入り口でホープはレイトブレーキングで突入し、一気にスカイラインクーペのテールに接近。

コーナーの先がどうなっているのか分からないスカイラインクーペは一瞬アクセルを踏み込むのを躊躇った為に、

立ち上がりでホープのC4が並びかける。

それでもパワーに勝り、トラクション性能の高いFRレイアウトのスカイラインクーペがジリジリ前に出る。

それを見ても今のホープは冷静だった。

(地元の人間じゃ無いわね。ここで終わりよ!!)

次の左コーナーへのブレーキングで一気にC4を前に出したホープは、その先にある1つのポイントを

使ったストップ方法をディアナから提案されており、それを実行する事に。


若干オーバースピード気味に前に出たC4を見て、真治は明らかにそれでは曲がり切れないと判断。

(焦ったな?)

なかなか前に出られない事に焦れたのだろうと真治は判断して、クラッシュに巻き込まれない様に

アクセルを緩める。

だが、その次に見た光景はとんでもないものだった。

(……なっ!?)

2個目の左コーナーの出口のアウト側にあったのは何とバス停。

アウト側が山になっている分、バスが停まれる様にそこだけ道幅が拡張されており少しだけ道幅に

余裕が出来る。

スピード差を活かしてスカイラインクーペをかわしたC4はバス停の部分まで使って上手く

サイドブレーキを使い、横一杯に道を塞いで停車した。


「ちっ……!」

舌打ちした真治は少し強引だろうかと思いつつも、この状況では仕方が無いとばかりに

そのC4のリア側目掛けて突進。

C4は道の左側……つまり反対車線の方にリアを置く形で停車しているのでそのリア側の隙間を

抜ける為にC4のリアに向けて突っ込む。

バス停のスペースから行ってしまうとすり抜けられないのでこうするしか無い。

「ぐっ……!!」

ドカンとぶつけたがまだまだ自走可能な位のクラッシュで済み、C4を強引に振り切ってそのまま

ダウンヒルの先へとスカイラインクーペを加速させて行くのだった。


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