Shutoukou Express and Kaido Runners vs Stomers 2nd Stage第5話


ワインディングセクションでC4がスカイラインクーペにぶつけられているその頃、

先に市街地セクションに入った渡辺と仁史とスティーブの3人は3方向に分かれて

身を隠す事にした。

Skypeの会話は未だに続いている。

「真治の奴、大丈夫かな?」

「さっきから応答が無いからな……心配だな」

「とりあえず俺達は身を隠しておこう」

スティーブのその一言で仁史は港の倉庫街方面へ、渡辺はダウンタウンの市街地方面へ、

そしてスティーブはアップタウンの住宅街方面へとそれぞれ向かう。

その途中で3人の元に真治から連絡が入り、何とか逃げ切った真治は海岸線の

リゾート地区方面へ向かった。


「駄目……見失ったわ」

スマートフォンで電話をするディアナの横で、ホープはぶつけられて破損したC4の右リアを見て

一体どれ位の修理費が掛かるのだろうかと頭を悩ませていた。

「派手にやってくれたわね。こうなったら意地でもあの車捕まえるんだから!」

闘志を燃やすホープの横でディアナが通話を終了し、電話の内容を報告。

「ソールとゴードンに連絡がついたわ。その分だと自走は問題無さそうだし、ダウンタウンで

合流する事にしたわ。あのぶつけて行った車の情報も送ってあるけど、他の2台か3台の車も

早く見つけないとまずいわね」

「ええ……」

人間の記憶は曖昧だな、とホープとディアナは実感する。

スカイラインクーペとのカーチェイスばかりが脳裏に焼きつき、肝心の仲間と思しき車が

そのスカイラインクーペの前に何台居たか、どんな車だったかを覚え切れていなかった。

ブロックし続けて来たあのスカイラインクーペのおかげで前が余り見えなかったのも原因だ。


そのリアが破損した状態のC4でダウンタウンまでやって来たホープとディアナは、以前

一緒に日本人トリオの3人を追い掛け回していたそれぞれの婚約相手と合流した。

「うっひゃー、こりゃやられたな」

「一体何があったんだよ? 俺達も断片的な話しか聞いていないから、もっと詳しく説明してくれ」

傷の状態を見て驚きを隠せない、ディアナの旦那のゴードン。

そして更なる情報の提供を求める、ホープの婚約者ソール。

どちらも彼女達がお互いにプリヨシティで出会った相手だった。


「……成る程な。それじゃ、そのインフィニティにブロックされ続けてホープさん達はまんまと逃げられたって訳だ」

「俺達も探すのを手伝いたいけど、その肝心の残りの3台の情報が無けりゃなあ……」

うーんと首を捻ってどうするかを考える4人だが、ここでゴードンが閃いた。

「あ、そうだ。ハートマンに頼めば良いんじゃねえのか?」

「ハートマンに?」

「ハートマンは元々刑事だし、今は探偵だ。俺達が考え付かない解決方法があるかも知れねえ」

「成る程ね。それじゃあハートマンの所に急ぎましょう」

その前に顔馴染みのカーショップにC4の板金塗装を依頼し、それからハートマンの事務所に4人は向かった。


「逃げられただと? ……全く、御前達に頼んだから今回もやり遂げてくれると思ったのにな」

残念そうな口調で、自分の事務所に集まったストーマーコンビ4人に溜め息を吐く私立探偵のハートマン。

「まぁまぁ先輩、ホープさん達も頑張ったんですから」

「所長と呼べ」

幾らそう訂正しても、プリヨシティ警察時代から直してくれないその呼び方にもハートマンはうんざりしながら

もう何度目になるか分からない訂正をした。

そんな訂正をするハートマンの前で、ホープは今までにあった事を全て話した。

「……と言う訳で、車はカーショップよ。何か良いアイディア無いかしら?」

「ふうむ……」


ギシリと椅子を軋ませて頭の後ろで両手を組み、ハートマンは天井を見上げて考える。

そうする事しばし30秒。

「その追っていた車の特徴で、何か変わった所は無かったか?」

「変わった所……うーん、変わった所って言われても……」

腕を組んで悩むホープだが、その横からディアナが口を挟んで来た。

「ナンバープレートがアメリカのナンバープレートじゃ無かったわね。それに確か、右ハンドルだった気がする」

「えっ? って事はアメリカの人間じゃ無いって事か?」

ソールが疑問をそう口に出したので、ディアナは頷きで答えた。

「ええ……確証が無いから何とも言えないけど、アルファベットが1文字も書かれていないナンバープレートだったわ」

「アルファベットじゃ無い……」


その話を聞いていて、今まで見かけた事の無い車である事やナンバープレートが外国製と言う情報から

ハートマンは1つの提案をする。

「分かった。それなら警察の知り合いを通して空港や港にリサーチを掛けてみよう。恐らくその車は

最近このキャロラインシティにやって来た筈だから、船か飛行機で運んで来た可能性があるな」

「成る程ね、データベースを辿って調べるって事か」

「だったら俺達は2手に分かれて、その消えた車を街中探し回ってみるよ」

「そうね、それが良いわ」

感心するゴードンの傍らで、自分達が実働部隊として動く事を提案したソールと同調するホープ。

今、謎の車の捜索劇が幕を開けた。


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