Shutoukou Express and Kaido Runners vs Stomers 2nd Stage第6話


ダウンタウン方面に逃げた渡辺とその愛車のコルベットは、とあるビルの立体駐車場の中に停車していた。

(木を隠すなら森の中、車を隠すなら車の中だ)

只でさえ暗い駐車場の中に、黒い自分のコルベットが停まっていればなかなか見つけにくい筈だと

渡辺は踏んでの行動だった。

するとその時、繋ぎっぱなしにしているSkypeの音声がイヤホンから聞こえて来た。

『皆、聞こえるか? 黒羽だ』

「ああ聞こえるぞ。今は何処に居るんだ?」

『海岸線のリゾートセクションの土産物売り場のそばに身を隠してる。御前達は何処に居る?』

「俺はダウンタウンの立体駐車場の中に居るぞ」

自分の居場所を渡辺が伝えると、仁史とスティーブもそれに続いた。

仁史は港湾区域のコンテナ倉庫街の一角、スティーブは住宅街の中にある大きな駐車場の中に停車していた。


身を隠す事に全員が成功したらしいと聞き、渡辺はこれからの行動のアイディアを集める事にする。

「さて皆、これからどうする?」

「どうするって……とにかく証拠の動画をどうにかして警察に持って行くのが最優先だろうよ」

仁史のセリフにスティーブも同意。

「そうだな。俺達の中で1番近い警察署は何処だ?」

クエスチョンを出されて、それぞれがマップアプリを駆使して警察署の位置を調べる。

その結果、どうやら仁史のS14が1番最寄りの警察署の近くに停まっている様だった。

「なら俺が行く。警察署に着いたら報告する」


だが、どうやら天はそう簡単にミッションを成功させてくれそうに無い様だ。

何故なら、スティーブのSW20のカーラジオから4人にとって恐るべきニュースが流れて来たからだった。

『臨時ニュースの続報です。先程のニーサツール銅像前で行われていた銃撃戦は、警察の特殊部隊によって

鎮圧されたとの情報です。しかし4台の車がその銅像前から麓方面に降りて行ったとの目撃情報があり、現在も

行方が分かっておりません。キャロラインシティの皆様は周囲に十分な警戒をすると共に、その車の目撃情報が

あれば最寄りの警察官まで情報提供をお願いします……』

まさかこの4台の車と言うのは……と、スティーブのラジオ受信の内容報告にその報告した本人を含めてゾッとする4人。

「お、おいおい……」

「もしかして俺達、あいつ等の仲間だと思われてるって事か!?」

「そうらしいな。となれば素早く動くしか無いだろうな」

もしあのギャング達の仲間だと思われているのであれば、何処かでドライバーの顔まで見られているかも

知れないと感じて警察署まで行くのをためらいがちになる。

しかし行かなければ何時まで経っても自分達の容疑が晴れる事は無いので、ここは意を決して

仁史がS14で最寄の警察署に向かった。


「んー、ここも手がかり無しか」

「それじゃ、何か分かったら教えてくれよ」

港湾区域の警察署までやって来ていたソールとゴードンは、その逃げた4台の車に関しての

情報が入ってないかとキャロラインシティ中を探し回りつつ、警察署も回って情報を集めていたが

なかなか成果は上がりそうに無かった。

「目撃者がなかなか居ないからな、こりゃー骨が折れそうだぜ」

ぐったりした様子でソールがそうぼやいた時、入り口から入って来る赤髪の男がゴードンの目に入った。

「……」

「どうした、ゴードン?」

「良いや別に……さぁ、次の場所に向かおうぜ」


何だかその男に直感的に引っかかる物をゴードンは感じたのだが、今の時点ではそれは分からずじまいだった。

一先ず駐車場に停めてある自分達のサイオンFR−Sの元に歩き、乗り込んだ所で次の行き先を決める事に。

「ええっと……ここはもう回ったから次は……」

「リゾート方面にでも行ってみるか?」

そんな会話をしながらマップアプリを覗き込んでいたその時、バタバタと騒がしい足音と共に誰かが駐車場へ飛び込んで来る。

「何だ?」

「あれ、さっきの奴だ……」

ゴードンが気になった、入り口で見かけたさっきの赤髪の男が明らかに慌てた様子で駐車場に駆け込んで来たかと思うと、

近くに停めてある黄緑色のS14シルビアに乗り込んで派手にホイールスピンをかましながら走り去って行った。


「何だあいつ、一体……」

ソールが呆然としながらS14の走り去った方向を見つめていると、その直後に1人の警官がFR−Sに走り寄って来た。

「たっ、頼む! ストーマーのあんた等ならあいつを追えるだろう!! あの男がギャングの1人である可能性が高い!」

「えっ!?」

「まさか、その逃げた車の内の1台なんじゃあ……」

警官の慌てぶりは尋常じゃ無いので、ソールとゴードンは急いでS14の後を追いかける事にしたのである。

「さっきの奴、凄い慌ててたかと思ったらそう言う事だったのか!」

「この先はしばらく1本道だ。まだ追いつける範囲に居るだろうから急げ!!」

「勿論だ!!」

ゴードンがソールに急ぐ様に指示を出し、指示を出されたソールは2速にギアを叩き込んでアクセルを踏み込む。

ギャングの一員であれば、ここで何としても逃がす訳には行かないのだから。


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