Shutoukou Express and Kaido Runners vs Stomers第2話


「あれ? 何だこりゃ?」

山本がビルの壁に貼られている1枚のポスターに目を留める。そのポスターには

『車関係の事でお困りなら、ストーマーが電話1本で何でも解決します!』

との見出しが描かれていた。そして連絡先も記載されている。

「ストーマーって何なのかな?」

「さぁ? 少なくとも俺は初めて聞く言葉だよ」

横からそのポスターを覗き込んで来た拓也にそう返事をする山本だったが、隼人が

ポツリとこんな一言を漏らした。

「僕は聞いた事がある。確か……車を使って何でも依頼をこなす探偵業の様な

事をする職業だと。色々な街を転々としているストーマーも居れば、その街オンリーで

縄張りにして活動しているストーマーも居るらしい。この街ではどうやらこのポスターの

ストーマーが縄張りにしているみたいだね」


そんな車関係のフリーランスの様な職業があるのか……と思いながらも、とりあえず

今の自分達には関係が無いので3人は予約していたホテルへと向かう事にする。

「打ち合わせって何時からだったっけ?」

「明日の午後1時から。それまではゆっくり出来るだろ」

「そうだね。何処か夜景の見えそうな場所でディナーでもどうだい?」

「お、流石荒巻財閥の御曹司! センス良い所を頼むよ!」

隼人の提案にノリノリになる山本を拓也は横目で見ながら、ホテルに荷物を

置いた後にこの街の観光スポットの1つとして知られている展望レストランへと3人で

車を走らせる事にする。

が、事件はその展望レストランが入っているタワービルへと向かう途中で起きるのであった。


信号待ちの交差点で停止する3台。

市街地の中でもこの交差点は大きく、交通量も多い為に車の量も多い。

そんな交差点を3台の先頭に居る拓也がボーっと眺めていた時だった。

「……おいおい、あいつ、やば……うわ!?」

それはまさに一瞬の出来事だった。交差点の向かい側から猛スピードで直進して来た

青いファイヤーバードのトランザムが赤信号を無視して交差点に進入。そのまま青信号の

側から出て来た黄色のオペルベクトラワゴンの側面にぶつかってクラッシュ。

ベクトラワゴンは吹っ飛んだが、ファイヤーバードは何とその場から逃げようとしている。


「あ、あいつ……!!」

ハンズフリーで後ろの隼人のロードスターに通話をする。

「隼人、今の見えたか!?」

『ああ、見えた。助けに向かおう!!』

そしてその前では山本が、逃げようとしているトランザムを追いかけるべく一旦レビンから

降りて隼人と拓也の車のドア越しにそれぞれ報告。

「俺はあのトランザムを追いかける。警察と救急車だ!!」

「分かった、無茶はするなよ!!」

3人がそれぞれ役割分担。山本はレビンで暴走トランザムを追いかけ、拓也と隼人は

警察と救急車をそれぞれのスマートフォンで要請する。


しかし……。

「救急車はまだか!?」

焦った様にイラつく拓也だが、隼人が絶望的な一言を。

「そ、それが……他の事件や事故で出払っていて、なかなか来られないらしい!!」

通報してるから来ると思うんだけど……と言う隼人だが、ベクトラワゴンから降ろした

若い女をこのまま放って置く訳には行かない。

「ちっ……応急処置が済んだとは言え、このまま放って置く訳には行かないだろう。

こうなったら俺が運ぶ!! 俺のスターレットに乗せろ!!」

「わ、分かった!!」

こうなってしまった以上一刻の猶予も無いと判断した拓也は、隼人にまず女を

乗せるのを手伝って貰い、それから近くの病院を調べて貰ってその場所を

スマートフォンのナビアプリで確認しながらスターレットで病院まで急ぐ事に。


一方の山本はレビンでトランザムを追いかける。まずまず交通量が多いのと、先程の

クラッシュの影響もあってかトランザムが思う様に走れていないので200馬力位の非力な

レビンでも追いつける。

だけど土地勘は全く無いので、追いかけ難い場所に逃げ込まれでもしたら厄介だ。

そうなる前に何とか止めようと判断した山本は、警察が来るまで徹底的にトランザムを

ブロックしようと前に出ようとする。

(アクセル全開!!)

アップダウンの多い場所を走り、坂を上って頂上地点でスピードに乗ってジャンプ。

そんな山本のジャンプしたレビンが、青いスポーツカーを飛び越えて行った……。


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