Crisis of Empire第3話
シャラード・クノファンは、ファルス帝国の警備隊を全て纏める立場にある警備隊総隊長だ。
帝国警備隊は帝国騎士団のサポートをするのが仕事内容であり、
実質的に騎士団の下に位置する部隊となっているがその実力は
武人国家の警備隊だけあって決して騎士団に実力で負けている訳では無い。
何処が違うのかと言うと、騎士団はそれぞれ左翼、右翼、そして精鋭で
守護する場所が違うのに対して警備隊はファルス帝国全域で勤務を
するので、1つの場所に留まりたくない人間が入る組織である。
それに騎士団に入る為の条件として武術大会で上位の成績を収めるか、
騎士学校に入ってそこから入団試験を受けるか、または直接入団試験を
受ける事で入る事が出来るが、例えば家の事情でお金に余裕が無かったり、
武術大会に参加出来る程の腕が無いとかと言う人間も警備隊に入る事がある。
そうして警備隊に入って来た者達も将来的には国の治安を守る人間として
徹底的に武術や馬術、礼儀作法、兵法等を3年かけて学ぶ。
警備隊は15歳から入隊が可能であり、3年は国の税金で賄われている養成学校に
入るのだ。そして卒業してからは1年間先輩隊員の補佐をしながら実地訓練をして、
最後に本入隊試験を受けて合格すれば晴れて警備隊員になる事が出来る。
この様にカリキュラムが組まれている事によって警備隊と騎士団との差を左翼、右翼、
精鋭の関係と同じ様になるべく無くして行ける様に隊員達を育てて行くシステムに
なっているのが特徴だ。
それを取り纏めているのがこのシャラードなのであるが、彼は元々盗賊の出身で
強力な魔物に襲われて仲間の盗賊が全滅していた所を騎士団に助けられ、
そして騎士団に捕まった事から自分も国を守る立場になりたいと思い
盗賊家業から足を洗って警備隊の養成学校に入学したと言う経緯がある。
その時シャラードはまだ17歳であり、そこから4年後の21歳の時に本入隊をして
今はもう41歳なので20年になる。
入隊したシャラードはルザロと同じく努力に努力を重ね、また盗賊出身だけあって
国の内部事情にも割りと詳しかった為それも重宝され、結果として本入隊から5年後の
26歳の時に若くして警備隊の総隊長に選ばれると言う結果に繋がった。
総隊長は帝国の将軍でもあるので、将軍になってからシャラードは更にやる事が
増えて行ったがそれでも一切音を上げる事はせずに業務の効率化に勤めて
今は余裕のある仕事が出来る様になった。
本来は熱血漢で直情家なので出来れば自分もラシェンの様に前線に
立ちたいのだが、流石に将軍ともなればセヴィストやカルソンが許してくれないらしい。
基本的にルザロと同じく剣や弓等他の武器の鍛錬もしているが、最も得意な武器は槍なのである。
その槍を左手に持ち、右手はフリーにして腰にぶら下げたロングソードを有事の際には
何時でも抜ける様にしているのが彼の定番スタイルだ。
彼の着込んでいる甲冑は至る所にヒビやキズ等が入っているが、あくまで表面的なもので
強度的には全く問題が無いと防具屋から判断を受けている。
また、このキズやヒビその物が数々の戦場において名前を上げて来た今までの
名誉の証であると部下からは捉えられている事もあって、何時しかこのキズだらけの甲冑が
彼のトレードマークの1つになっている。
勿論今セヴィストが横に、ルザロがセヴィストを挟んで反対側に居るこの状況においても
その左手に槍を、右手はフリーな状況を作ると言うのは全く変わらない。
セヴィストに向かい合う中庭の民衆側から見てみると、セヴィストが真ん中に立っていてその左隣に
ルザロが後ろに手を組んで威風堂々と立っており、セヴィストの右隣に立っているシャラードは
槍を素早く動かせる様にセヴィストと左腕が近づく形になるルザロの側には立たない様にしているのも
こう言うイベントの日常的な光景の1つであった。
だがそんな日常的な光景はこの後、セヴィストの報告演説の途中に突然乱される事になってしまう!!