Compete in a Different World第6話


その日の夕方、騎士団の業務を終えた副騎士団長のジェディスと

警備隊の業務を終えた副総警備隊長のロイティンは、2人揃って

城下町を歩いていた。

「団長と隊長が言っていたあの作戦だけど、うまく行くかな」

「うまく行かなければ困るだろう」

心配そうに問うジェディスに、問いかけられたロイティンはクールに返す。

今日は王城の食堂では無く、久しぶりに城下で食べようと

ジェディスがロイティンを誘ったのである。

そして1軒の大衆食堂に入ったのだが、そこで運命的な出会いが

2人を待ち受けていた。


弓使いとして、そして王国騎士団の副将軍として29歳と若いながらも

その地位に居るのがジェディス・ケレイファン。近衛騎士団長のクラデルと同じく貴族出身で、

人付き合いが得意な事で知られている。出身故に貴族との繋がりも深く、その縁でたまに貴族の

武術指南に行く事もある。しかし現在は同じ副官同士でロイティンと一緒に他の武器の鍛錬を

する姿も度々目撃されている。本人曰く、その理由としては「弓ばかり上手くなっても、もし弓が使えない

状況になった時の事を考えたら他の武器の精度も上げて置いた方が良い」と思ったからだとか。

ちなみに他の貴族から上等な酒を勧められる事が多く、割と酒豪な一面があり酒へのこだわりは強い。

好物はエスヴェテレスのワインで、使用人に頼んでわざわざ城に取り寄せて貰う程らしい。


30代に入ってもその無口でクールな性格は相変わらずだが、ひとたび戦場に出れば大きな斧を使って上官の

クラデルと同じく豪快に敵をなぎ払うスタイルが持ち味の近衛騎士団副団長のロイティン・ユイグレス。

エルガーと1歳しか変わらない31歳だがまだ20代前半に見られる事が多い。そんなイメージを持たれる

彼の趣味は自己鍛錬と言うまさにストイックな性格がありありと出ている物であり、他の騎士団員と比べても

30パーセント増し、いやそれ以上に鍛錬の時間を費やしている事から若手ながらも副将軍に選ばれるだけの事はある。

実の所エルガーやクラデルよりも強いと言う噂も立っており、本人も武術の腕だけで言うなら2人に負けない自信がある。

しかしながら部下の指導や統率と言う事に関してはまだ2人の将軍に及ばないので、それ故にそちらの勉強に関しても

次世代を担う未来の将軍として現在は取り組んでいる。


食堂に入った2人は、空いているテーブルについて料理を注文。

魚料理や肉料理、それに野菜とバランスを考えて注文するのだ。

しかし、ここでロイティンがとある事に気がつく。

「……なぁ」

「ん?」

「あそこの茶髪の奴、見た事ある顔の奴じゃないか?」

ロイティンが顔を向けている先には、テーブルに座ってちびちびと

酒を飲む1人の茶髪の男の姿だった。


Compete in a Different World第7話へ

HPGサイドへ戻る