Compete in a Different World第19話
リルザは王城前の広場で、ディレーディと1対1の攻防を繰り広げていた。
配下の王国の兵士達は、攻め込んで来た帝国の兵士達と戦っているので
ここで自分が勝つ事が出来れば大きく士気に関わる事になるのは
間違いが無いと言って良いだろう。
「ふっ!」
「はっ!」
両者の武器は片手のロングソード。エルガーとザドールの戦いと同じく
片手剣同士の戦いではあるが、違うのはリルザの片手剣の本数である。
リルザはロングソードを片手に1本ずつ持っており、それで戦う双剣士。
手数の多さで、ディレーディとのテクニックの差をカバーしている。
(こいつ、若いけどなかなか……)
対するディレーディは片手剣を使っているが、間合いを取れば弓を使う。
しかし今は混戦状態の為に間合いが取れないので弓を使えない。
そしてリルザの手数に押され気味なのに内心で驚いている。
だがリルザの方も、ディレーディの実力には内心で同じく舌を巻いていた。
(やはり軍事主義の帝国の皇帝だ! 余がここまで押され気味なのは
エルガーやクラデルとの手合わせの時を思い出すぞ!)
それでも簡単に負ける訳には行かないので、剣の軌道を見極めて
しっかりと対応するリルザ。
お互いに国の威信をかけたバトルであるからこそ、どちらも本気モードで
戦っているのだ。
勿論2人の周りでもジェリバーとヴァンイストのバトル、
ロサヴェンとウェザートのバトル、ティラストとブラヴァールのバトル、
そしてその他大勢のバトルが繰り広げられているが、彼等も同じく本気だ。
ここで負ければこのヴィルトディンはエスヴェテレスの物になってしまうので、
それだけはさせないと言う強い思いでリルザは戦う。
(決着は早めに着けたい!)
でも実力的にはこっちが不利なので、出来る事であれば短期決着を狙って
行きたいと言うのがリルザの本音だ。
そこで手数の多さを利用して一気に攻め立てる戦法をリルザは選択。
ディレーディがロングソードを突き出して来た所で横に身体を動かして避け、
その突き出して来た手にロングソードの柄の先端を上から下に叩きつける。
「ぐあっ!?」
更に逆の柄で怯んだディレーディの頭部目掛けて柄を振り下ろし、大きな隙が
出来た所で目にも留まらぬ速さの突きをディレーディの脇腹に繰り出した。
「がはっ……」
致命傷にはならなかった物の戦闘力を奪うには十分の一撃で、ディレーディに
剣先を突きつけてリルザは勝利したのである。
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