Compete in a Different World第20話(最終話)


エスヴェテレスの皇帝が倒され、宰相、将軍も倒されてしまった。

更に伏兵部隊の方も全滅させられてしまった為、もうこうなってしまった

以上はエスヴェテレスにこのヴィルトディンを落とせる要素が無い。

「これ以上やると言うのであれば、こちらとしても容赦はせずに

全力で戦う。退くなら今の内だ、エスヴェテレス!」

そうリルザに言われたディレーディも、軍の状況を見て判断。

「くそっ……撤退するぞ!」

これ以上は無意味だと悟り、兵力を失わない為にも速やかに

撤退する事にしたのである。


撤退の準備を始めたエスヴェテレス帝国軍を見て、

ヴィルトディン王国軍も撤退の準備に入る。

「終わりましたね……」

「ああ」

撤退して行くエスヴェテレスの連中を見ながら、ジェリバーが

リルザに向かってそう言うと彼も同意する。

「まさか、海を越えてやって来るとは計算外でした。ですがこちらと

しても良い勉強になったとも言えるのでは無いでしょうか」

「かもな」


そう、あの山脈に攻めて来た大人数の帝国軍はおとりであり、まさか少人数の

精鋭部隊を伏兵部隊として海から上陸させて、そうして警備の手薄になった王都へ

リルザを始めとした重要人物の暗殺を目的に乗り込ませるとは思いもよらなかった。

だがそれにエルガーとクラデルが気がついて、王都に居たロサヴェンや

ティラストが戦ってくれたおかげで間一髪未然に防ぐ事が出来たのだ。

その功績を称えて、ロサヴェンとティラストも正式な軍属では無いが勲章が授与される。

そして王国騎士団への入団権利も発行され、その2人は王国騎士団に

入団する事になったのであった。


またエスヴェテレスは撤退はした物の、機会があればいつでも戦争を

始められる様な兵力がまだまだ残っているのだ。

しかしこの戦争をきっかけに、ヴィルトディンも今迄以上の軍事力の

アップをする事を決め、ロサヴェンやティラストも傭兵の経験から

戦術面での活躍も期待される事になった。


国宝の飛竜の尻尾らしき化石も無事守る事が出来たし

あの遺跡の警備もこれまで以上に強化される事になった。

また入国審査も厳しくなり、武器のチェックや目的等が警備隊に

よって今迄以上に細かく見られる様にもなる事が決定。

それから海の付近にも監視場所を設置して、そこから侵攻して来る

事があればすぐに王の元に知れ渡る様にシステムを作る事になった。


こうして1つの戦争がここに幕を下ろし、ヴィルトディンもエスヴェテレスも

次第に元の生活に戻って行く様になる。だが、これから先ヴィルトディンには

エスヴェテレスの侵攻が100パーセント無いとは言い切れ無い訳だし、

その他にも周辺諸国がいつ攻め込んで来るのかも分からないので

軍備の強化は大事である、と思い知る事になる戦争だったと

ヴィルトディン国王のリルザは語ったと言う。


そしてヴィルトディンの方でもこれから先の侵攻計画について

見直される事になったが、まずは軍の建て直しが先だと考えて

その計画はまだまだ先の方になりそうだ。

だがエスヴェテレスはまだ諦めてはおらず、いつかはまたどこかの国に

乗り込む事を考えているらしい。

それも成功するかどうかは分からないのだが、この敗北を切っ掛けに

更に軍事力は成長して行く事だろう。


こうして、海を挟んだ2つの国同士の戦争は終わったのであった。



Resistance to the False Accusation 完


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