Compete in a Different World第18話


国王同士のバトルが横で繰り広げられる一方、宰相同士のバトルが

広場で行なわれていた。ヴィルトディン王国の宰相ジェリバーと、

エスヴェテレス宰相のヴァンイストの勝負だ。

ジェリバーにとって、何故エスヴェテレスの宰相が何故ここに

出て来ているのかと言うのはいささか疑問であったが、戦闘前にそれを

ヴァンイストに問いかけたジェリバーに対してはこう彼は答えた。


「陛下が出るのであれば私も出ます。それに王城の下見にもなりますし」

とヴァンイストがジェリバーに宣言していた事から、既に王城を乗っ取る計画も

彼の頭の中で進行していると考える。

勿論そんな事はさせまいと、ジェリバーも全力でヴァンイストに立ち向かう事にした。

ジェリバーの武器は手斧と魔術。対するヴァンイストは2本の槍と魔術だ。

だがこの混戦状態では魔術をロクに使う事がどちらも出来ないので、

武器と武器の勝負になっている。


しかし、この状況では圧倒的にジェリバーの方が不利だ。

ヴァンイストは槍を2本同時に扱うと言う器用な使い方をして来る上に、

リーチだけを見ても圧倒的にヴァンイストが有利。

それによってヴァンイストは積極的にジェリバーに向かって攻めて行く。

「ぐ……っ!」

何とか手斧で弾いたり受け流したり身体を捻ってかわしたりしている

ジェリバーだが、このままでは力尽きて殺されてしまうのは時間の問題だ。


(何とかっ……しなければ!)

ジェリバーの顔に焦りの表情が浮かんだのを見逃さずに、更に攻め立てるヴァンイスト。

そして腹に強烈な前蹴りが入る。

「ぐほっ!」

後ろに少し吹っ飛ばされたジェリバーは、その後ろでバトルしていた他の

エスヴェテレスの兵士に直撃。

「いがっ!」

「あっ!」


すぐにその兵士から離れてもう1度ヴァンイストに向かおうとするジェリバーだったが、

ここである事が頭の中で閃いた。

(……!)

それを実行するのは危険な賭けであるが、この状況であればやむを得ないであろう。

その為にはまずヴァンイストを引きつけなければ行けない。

「はっ!」

ヴァンイストに向かって行くジェリバー。それを見たヴァンイストは槍を

横薙ぎに振るうが、ジェリバーはそれをバックステップでかわす。


そのままバックステップを使って後ろへと下がるジェリバーをヴァンイストは

追いかけるが、ジェリバーはこれが狙いだった。

ジェリバーが下がって行ったのは、混戦状態にある広場のほぼ中心の位置。

そこに来て同じく斧を振るい始めるジェリバーだが、ヴァンイストも受け流して

槍を振るう。が、それをジェリバーにかわされてしまい、槍の軌道上に居た

エスヴェテレスの兵士を切り裂いてしまった。


「はっ!?」

動揺するヴァンイスト。しかしそこにジェリバーの強烈な一撃が入る。

「らいっ!」

「ぐお!」

お返しとばかりに前蹴りを食らわされ、今度は縦に槍を振るうが

それを横に飛んでジェリバーは回避。

その槍はジェリバーの後ろで戦うエスヴェテレスの兵士を斬り裂く。

「ちっ!」


そう、この状況では槍のリーチの長さが逆に仇となってしまい

まともに振るう事等出来やしない。

そこにジェリバーは目をつけ、まともに槍を振るえなくなったヴァンイストの

懐に飛び込んで腹を斧で横に切り裂く。

「があっ!?」

その渾身の一撃でヴァンイストは槍を落としただけでは無く、地面にうずくまって

戦闘続行不可能。ジェリバーの勝利となった。


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