Compete in a Different World第17話
ティラストとブラヴァールが戦う一方で、ロサヴェンは自分と
同じく傭兵として帝国に加勢しているウェザートを相手に戦っている。
王都の中は混戦状態になっているが、それも1番酷いのは
この王城前の広場での戦いなのだ。王城前の広場では
幾つもの兵士と兵士によるバトルが行われており、ロサヴェンと
ウェザートも勿論その中においてバトルをしている。
ロサヴェンは両手剣を振り回して戦うのだが、ウェザートは
最初は魔術を使って来ていた。しかし今は杖を背中にしまって
懐から取り出した2本の短剣と併用して戦い出して来たのだ。
その理由はすぐにロサヴェンには察しがつく。
(魔術だけだと混戦状況では使えないからな)
魔術の詠唱の間に他からやられてしまう可能性がある。ましてこんな
混戦状況ではなおさらの事だし広範囲の魔術を繰り出して味方を
巻き込んでしまっては元も子も無いので、短剣でその分をカバー
しなければいけないだろうとロサヴェンは読んでいる。
それでもロサヴェンはこのウェザートと戦わなければいけないのである。
ヴィルトディン王国側についた以上は、この王都と王城を守る事が
傭兵としての依頼になっているからだ。
だからこそ、このヴィルトディン王国に進撃して来たこのエスヴェテレス
帝国軍とは決着を着けなければ行けない。
自分とティラストがエスヴェテレスの作戦を見破った事で、王都の王城へ
直接乗り込まれる前に阻止する事は出来たが、王都の一般市民達にも
被害が及んでしまっているので即座に排除しなければならないのが本音だ。
その為にもまずは目の前にいるウェザートからケリをつけなければ。
ウェザートの魔術はなるべく広範囲の物を使わず、小さな範囲を攻撃する
魔法で確実にロサヴェンだけを仕留めに来る。
エスヴェテレス兵も魔術に巻き込んでしまったら、と言う不安が常に
ウェザートには付き纏っているのだ。
しかしそれはロサヴェンも同じである。ロサヴェンはリーチの長い両手剣を
使う為に、なるべくこちらも他の兵士を巻き込まない様にする戦法で勝負。
見た目的には地味なバトルだが、レベルの高いテクニックとテクニックの
応酬になっているのである。
だがそれも長くは続けていられないと言うのがどちらとしても考える事であり、
長引けば長引くだけ体力の消耗も早くなってしまう。
(俺はこいつだけに構っていられない!)
すぅと息を吸い込み、素早く吐いて両手剣を構え走り出すロサヴェン。
それを見てファイヤーボールを放ち、それを目眩ましにして短剣で
追撃するウェザート。
しかしロサヴェンは向かって来るファイヤーボールをすっと避け、
素早く体勢を立て直してウェザートに向かう。
「何っ!?」
それに驚くウェザートの前には、もう既にロサヴェンが剣を
振りかざしてジャンプして来ており咄嗟に後ろに飛ぶ。
だがそれもギリギリ間に合わずウェザートはロサヴェンの剣のリーチの
餌食になってしまい、斜めに空中で胸から腹にかけて斬り裂かれてしまった。
「ぐはっ!」
後ろにジャンプしたので致命傷とまでは行かなかったが、それでもかなり
深く斬られてしまいここでウェザートは戦線離脱する事になったのである。
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