Compete in a Different World第14話


クラデルは自慢のハルバードを豪快に振り回し、向かって来る

エスヴェテレスの兵士達を薙ぎ倒して行く。

その気迫にエスヴェテレスの兵士達は押され気味だ。

「どうした! 死にたい奴から俺に掛かって来てみろ!」

ハルバードを構えてそう周囲に叫ぶクラデルだったが、そんな

彼の元に歩み寄る1つの影があった。


「ならば、僕が相手になろうか」

弓と短剣を持った金髪の男が現れた。その男にはクラデルも見覚えがある。

「御前は……帝国騎士団副長のユクスか」

「光栄だなクラデル将軍、僕の名前を知っているとは」

「そりゃあ有名だから知っているさ。では行くぞっ!」

それだけの会話をかわして、先に突っ込んだのはクラデルの方だった。


両者の戦い方は全くと言って良い程正反対。

「はあああっ!」

「おらあああっ!」

のっけから激しくぶつかり合う両者だが、クラデルはパワー全開のバトルを

繰り広げるのが得意。細かい事は気にせずにとにか薙ぎ倒してしまえと

言うコンセプトの下に戦いを進めると言う、単純そうだが非常に相手にとっては

やり難いパターンである。


その間合いに入って反応が遅れよう物なら瞬時に斬り裂かれてしまうし、

かと言ってパワーの無い奴が攻撃を受け止めれば吹っ飛ばされてしまう。

そんなクラデルとは逆に、ユクスは距離を取って対抗するテクニックタイプだ。

相手の隙を突いてからテクニックを駆使してパワー差を跳ね返す、こちらも

場合によってはやり難い。

「らあっ!」

「おらああっ!!」

短剣とハルバードが一瞬激しくぶつかり合い、ぶつかり合った瞬間に

刃の部分が擦れ合って火花を散らす。


周囲では戦闘が再開し、2人のバトルも更にヒートアップして行く。

パワーとテクニックのぶつかり合いで体力の消耗も激しいが、

2人は軍人、それも軍のトップクラスに位置する者であるので

並大抵の事ではくたばらない程自分の身体を鍛えている。

端から見てみるとパワーではクラデル、テクニックではユクスの方に

若干の分があると見て良いだろう。


その理由はハルバードのリーチの長さにある。弓を使えばハルバードよりも

当然射程距離でリーチが長いのだが、この混戦状況で弓を使う事は

出来ない。なので短剣で戦うしか無いのだが、ユクスの使う短剣はクラデルの

ハルバードと比べてしまうとどうしても短い事は否めない。

だからこそ、クラデルの方はそのリーチの長さを活かしてどうやって

攻め立てるのかを考えて戦わなければいけないのだ。

(こいつもかなりの実力者だ。気を許したら負けるぜ!)


なので、短期決着を狙ってさっさと倒さないとまずいと判断。

クラデルはユクスの短剣を弾き、その勢いで彼の腹をハルバードの

先端でど突く。

「ぐおっ!」

それに怯んだユクスは隙が出来るので、そのまま槍の先端で彼を

ズリズリズリッとクラデルから見て前に押して行く。

「うおおおおっ!?」

ハルバードの槍の先端が刺さっている為逃れる事が出来ず、

短剣で攻撃をしようにもハルバードとはリーチの差があって届かない。


「らあああっ!」

そのまま後ろでバトルをしている兵士の集団に突っ込ませ、その勢いで

集団ごとユクスを押し倒しにかかる。

「ぐおあっ!」

ユクスは倒れる寸前で何とか持ち堪えた物の、大きくバランスを崩す。

それを見て、クラデルはハルバードをユクス目掛けて横に薙ぎ払った。

「ぐほえっ!」

まともに薙ぎ払いが入り、短剣も吹っ飛ばされてユクスはバトル

続行不可能。クラデルの勝ちが決定した。


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