Compete in a Different World第13話


ロイティンとシュヴィスがバトルを繰り広げる一方で、ロイティンの

相棒とも言うべき存在のジェディスと同じ傭兵のロラバートもバトルを

繰り広げる。ジェディスは弓を使うが、ロラバートは両手に短剣を1本ずつ

持って向かって来るスピードタイプの傭兵なので非常にトリッキーな相手である。

「よっ、ほっ!」

(くっそ!)

遠距離攻撃しか出来ないと思われがちなジェディスだが、実はロイティンと一緒に

短剣術も学んでいたのである程度の接近戦は出来る。しかしそれを見ても、

ロラバートはその手数の多さで勝負して来るので圧倒的に不利な状況に変わりは無い。


短剣だけでは不利だと悟るジェディス。この状況のまま

戦うのは危険だと判断した彼は、何とか挽回しようとする。

(まだ俺はここで終わる事は出来ない!)

そう考えてちらちらと辺りに目をやると、視界の隅に木が目に入った。

(……!!)

その時、とある作戦が頭の中に閃いたジェディスは

防御をやめてロラバートに背中を向けて駆け出す。


「逃がすかっ!」

ロラバートも勿論追いかけるが、途中で割り込んで来た

ヴィルトディンの兵士達に行く手を阻まれてしまい、その兵士達を

片付けた頃にはジェディスの姿はどこにも無かった。

(くそっ……!)

ロラバートは見失いながらもあいつがこのまま終わる訳は無いと

直感で感じ、一先ずは周りのヴィルトディンの兵士に向かって行く事に。


そうして一通りヴィルトディンの兵士を倒したが、まだまだ周りはバトルの音で

五月蝿くなっている。

(何処からでも来てみるが良い!)

その時、何処からかかすかに矢が放たれる音がしてロラバートは音の方向を

察知しようと目を向ける。

しかし、それはありえない形でロラバートに襲い掛かって来るのであった。

「なっ!?」

頭上から降って来る大きな木の枝。

それを確認しロラバートは咄嗟に横っ飛びで回避するが、

その直後に何者かの突きが腹部に鈍い衝撃を与える。

「うぐぁ!?」


その衝撃を与えたのは、ロラバートの懐に飛び込んで短剣で腹部を

突き刺したジェディスだった。

「があ……あっ……」

深く入り込んだ短剣はロラバートの戦闘力を奪うには十分で、

そのまま地面にロラバートを押し倒したジェディスは、懐から取り出した

荒縄でぐるぐる巻きにして素早く拘束。これでジェディスの勝ちとなった。

(危なかったぜ……)


短剣術をロイティンと一緒に学んでいたジェディスは、これが役に

立った事に喜びと驚きを隠せないで居た。

しかし彼はどうして勝てたのであろうか?

「あ、あんた……俺に何をした?」

縛られながらもそう問いかけるロラバートに、ジェディスはさっさと答える事に。

「俺は御前の技の速さに対抗出来なくなったから、他の兵士達に隠れて

木の上に登った。そして弓で御前の上にある木の枝を狙い撃ってスッパリと

切り裂いて落とし、それを目眩ましにして落として隙を作る様に仕向けたのさ」

それだけ言って他のバトルに参戦して行くジェディスの背中を、

ロラバートは呆然と見ている事しか出来なかったのである。


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