Crisis Mission Team Battle第6話


「くっ・・・!!」

自分もそのレバーを全開にした事で、そこから出ている煙にやられない様にする。

仁史が見つけたのは消火器。

消火器の粉を目くらましにする事に成功した仁史は、まずは目くらましから抜け切れていないエヴァンを顔面を蹴って

ノックダウンさせる。

更に残っている粉を今度はアランに噴射し、巻き添えを食らったマークともどもドロップキックで倒す。

その間にジョルジョが向かって来るが、少しだけ残っていた粉をジョルジョに噴射してから消火器を投げつけ、

その消火器がジョルジョに撃ち落された所でジョルジョに抱きついて持ち上げる。

「ふん!」

ジョルジョを羽交い絞めにしながらウェズリーに突進して行き、完全にジョルジョの身体でブロックされている

自分をウェズリーが撃てないのを確認しながらジョルジョをウェズリーに向かって突き飛ばす。

そうして2人の身体がぶつかり合って冷静な2人がたたらを踏んだ所で、全力の頭突きをウェズリーの顔面に

入れてノックアウト。 それからジョルジョにも全身全霊のボディスラムをぶちかまして地面へと叩きつけて戦闘不能に。


だが・・・・。

「・・・・!!」

頭に衝撃を食らい、自分のゲージが一気に100パーセントまで溜まる。つまり頭部に模擬弾がクリーンヒットした為に

即死したと言う事だ。

その模擬弾を撃って来たのは、最初に自分が人質にしたルークの物だった。

「ちっ・・・・荒削りだけど、やっぱり若手のホープか・・・」

ここのバトルは赤い3人が制する結果となった。

「へへん、どーよ!」

「っあー、悔しいーっ!鼻いてぇ…」

「……帰ったらシャワー浴びなきゃなぁ」

「……こっちは一人落ちてる。そっちは二人。この際三人とも回復するまで待って、同時にスタートしないか?」

「へえ、そっちが有利なはずなのに。まぁいいや、その条件、飲んだぜ」


そしていよいよラストバトルのエルヴェダー戦に向かう為に、中庭へと歩きながら会話をするVSSEのエージェント達。

「で?準備は大丈夫かよ、オッサン」

「敵の心配をするとはずいぶん余裕だな。悪いが、こっちが勝つ」

「言うな。こちらも負けるつもりはないが」

「今回はこっちがポイントもらうぜ、ウェズリー。足の引っ張りあいにならないようにな?」

「……その言葉、そっくりそのまま返す」

「……で、マーク、なんで俺を見るんだっつうの!」


それを遠目でも見つける事の出来た人間の姿のエルヴェダーは、傍らに控えるキースとリチャードにも聞こえる様に呟く。

『今の所では赤チームがリードしているみたいだな。しかし、青の御前達にはまだまだ逆転のチャンスがあるぜ。

俺様を先に倒せたチームに4ポイントだ。つまり俺様を倒したチームの勝ちになる。まぁ頑張れや。

俺様も手加減はしないからそのつもりで。それと・・・・・人間の姿で戦うんだっけ? 元々のこの姿で俺様と

戦うんだっけ? その辺りの説明をキースとリチャード、頼むぜ。後は人間の姿で戦うんだったら地上戦だけど、

ドラゴンのこのままの姿で戦うならヘリコプターの空中戦になるんじゃねぇのか?』


そんな質問をエルヴェダーにされたキースとリチャードは、すぐにその質問に答えた。

「ああ、そのあたりの説明はしていなかったか? 人間の姿で頼むぞ」

「正直言うと、演習とはいえヘリを壊されたらたまったものじゃないからな……」

『分かった・・・。で、魔法は使わせて貰うけどそれでも良いか? 結構火が出るけど』

キースとリチャードの答えはそれに対して、被害が建物に出なければそれで良い、との事だったので

エルヴェダーはそれに同意して自分の武器である槍を構えた。


『じゃあ、行くぜ!!』

エルヴェダーはその声と同時に6人に向かって槍を振るう。すると振るった槍が空気を切り裂いた場所が炎に包まれ、

それが遠心力によって6人の方に飛んで行く。6人は勿論しっかりと避けるものの、エルヴェダーの炎攻撃は止む事を知らない。

伊達にヘルヴァナールの伝説のドラゴンの1匹であり、人間など足元にも及ばない程長い時間を生きている赤いドラゴンでは無いのだ。

『ふっ、はっ、とおっ!!』

続けて槍を片手に持ち替え、片方の手からファイヤーボールを投げ飛ばす。勿論建物にぶつかっても燃えない様に威力を

加減している訳だが、それでも当たってしまったら一たまりも無いだろう。

「あー、あいつ本当に凄いなー・・・」

「これがドラゴンの力・・・異世界のドラゴンって・・・・ヤバイな」

「ファンタジーの現象が現実に見られる事になるとはなぁ」

陽介、仁史、渡辺はそれぞれ思い思いの感想を述べながら、赤いドラゴンとVSSEの6人のバトルを建物の上から見守る。

「でも人数差ではエルヴェダーが不利か。そうなればVSSEが人数差でどうやって出て来るかによるな」


「うわ……っと、やっぱ一筋縄じゃいかねえなっ!」

「もっと慎重に行かなければ……だが、もたついていると先手を取られるな」

「……エヴァン、マーク、ちょっと来い。俺に考えがあるんだ」

青いチームの3人は赤チームの苦戦を横目にしてヒソヒソと作戦会議を始める。

「あーじれったい……っ、俺は先に行かせてもらうぜ!」

「おい、ルークっ!先行するなって!あぁもうっ」

「………こんなので大丈夫か……?はぁ」

一方の赤チームはルークが飛び出して行った。


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