Crisis Mission Team Battle第5話
そしていざ仁史の待つ区画へと赤チームが行こうとしたのだが、ここで青チームと合流してしまった。
「げ」
「げ」
ルークとエヴァンが顔を見合わせ、お互いに同時に同じことを口走る。
「逆に来てなかったら張り合いがないからな」
「へぇ、言うなウェズリー。ま、俺たちが勝つけどな!」
「それじゃ、俺たちは先に行っているぞ」
「あ、……っほらエヴァン、張り合ってないで俺たちも!」
仁史はVSSEの士官達を陽介と渡辺以上に従えていたが、その2人が倒されたとキースと
リチャードから連絡を受けていた。
「やるな・・・」
そしてその2人を倒したそれぞれのチームがこちらに向かって来ているらしい。
(俺の争奪戦になるのか。だったらこっちも全力で迎え撃つまでだろう)
おやつの取り合いとは訳が違うんだけどな、と仁史は内心で呆れながらもその6人がやってくるのを待つ。
なるべくVSSEの士官達が足止めをしてくれると助かるのだが・・・と考えていた仁史だったが、
あいつ等は一筋縄ではいかないだろうと感じているのもまた事実だった。
「やっぱ数が多いなー……こうなったら…」
ルークはこっそりアランとジョルジョにジェスチャーを伝え、青チームに気づかれないように離脱する。
目的はもちろん仁史ただ一人だ。
(あいつはどこに……っと、いたいた!)
(・・・んん? ルークだけか?)
自分の方に向かって来るのはどうやらルークだけの様だ。他2人はどうしたのだろうかと思ったのだが、
向かって来るなら容赦はしない。しかしながら、ルークはまだまだ荒削りな部分が多かった。
確かに射撃の腕は若手のホープとだけ言われている事はある様だし、格闘術もそれなりに出来る様である。
(でも、まだまだ荒い。身を隠すときに無駄な動きがちらちら見え隠れするし、あいつ本来の性格なのか
むやみやたらに突っ込んで来る事があるからな。だったら俺はそこをつくのみ!!)
突っ込みたがるスタイルは元気が良いと言ってしまえばそれまでだが、相手に自分の行動を悟られやすい事、
それから相手の攻撃を食らい易い事、そして相手に攻撃のチャンスを与え易い事がデメリットだ。
(そこだ!!)
市街地特有の、ビル等の壁によって曲がり角の先が見えないブラインドコーナーを利用してルークが
自分を追いかけて来た所で素早く仁史は身体を反転し、ルークの身体を持ち上げる事に成功。
「不本意だけど、こんな手もありなんだ」
そう、仁史はルークを盾にして迂闊に攻撃されない様に作戦を考えたのであった・・・・。
「う、わ……っ!あ、やべ」
「いた……って、ルークお前なにしてるんだ」
「なにって……ええと、捕まってる?」
マークに問い掛けられたルークは半笑いで今の状況を伝える。
「…………」
が、そんなルークをジョルジョは無言で撃った。
「無言やめてくれねぇ!?とりあえず、これどうにかし……っぃでっ!」
「人質で射撃を戸惑うとは、まだまだ甘いな。マーク」
「あのさぁジョルジョ!俺ごと撃つってひどくねぇ!?」
「必要最小限の犠牲だと判断したが」
「わー、俺泣いちゃうなー」
(撃つのか・・・)
まさか躊躇無く味方を撃つとは・・・・一応被弾や攻撃を受けた時のライフ設定はあるんだよな? と頭の中で
確認しつつも仁史はルークを思いっきり青チームの方へと突き飛ばす。
それに気を取られたアランを今度は捕まえて人質にしながら、仁史は周りを見渡す。
(・・・・・!)
すると、すっごく役に立ちそうな設備を発見したのでまずはアランを青チームの方へ突き飛ばし、
素早くそれを手に取りながら前方へと転がる。そしてその設備から出ているホースのレバーを全開にした。
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