Crisis Mission Team Battle第2話
が、その時エヴァンがポツリとこんな事を口走る。
「わかったけどさ、それだとチーム分けて対立させる意味がないんじゃないの?メインはそれ、だろ?」
そんなエヴァンの質問にきょとんとした日本からの来訪者達。
「え? 俺等はただストーリー考えてくれとしか言われて無いんだけど」
「色分けって事は、赤いチームと青いチームに分かれるのか?」
そんな話は初耳だぞ、とまさかの色分けされたチーム対抗戦と言う話になっていた事にショックを3人の
日本人もドラゴンも隠しきれない。
『そうだな・・だったらもうシンプルに考えるか』
陽介も仁史も渡辺もエルヴェダーもうーんと頭を悩ませる。
と言う訳で、ストーリー云々は一旦抜きにしてドラゴンプラス3人を倒すまでのポイントで競う事になった。
ダメージに関しては模擬弾なので怪我を負う事が無い様に設定され、身体に取り付けられている被弾量を測るセンサーで
どれ位のダメージを負ったかが分かる様になっているシステムだ。そしてそのゲージが100パーセントまで溜まってしまうと
その時点で倒された事になってしまうと言う物であった。
『俺様の耐久力は高めに設定して欲しいもんだな』
赤龍のエルヴェダーが陽気な声色で呟いた。
具体的にはボス役の日本人3人それぞれが待ち伏せするポイントがまず決められる。
まずは倉庫街をモチーフにした区画で渡辺を倒す。これで1ポイント。
森林地帯で陽介を倒す事で1ポイントが入る。
同じ様に、市街地を想定したステージで仁史を倒すと1ポイント。
最初に赤い服がトレードマークの赤チーム、青い服装がトレードマークの青チームでチーム分けがされ、
同時に1箇所からスタートして共通のターゲットであるこの日本人を先に倒した方にポイントが加算される。
だけどバトルを面白くする為の措置として、3人が倒された後にVSSE本部の中庭で待ち構える
エルヴェダーを倒すことで何と一気に4ポイントが稼げる。 負けていても最後の最後で逆転の可能性があると言う事だ。
その新たな提案にアランが頷く。
「あー、うん、そのほうがいいな。シンプルで分かりやすいぜ」
「言っとくけど、お前の体力高めに設定して俺たちが全員終わったら勝負になんねえから、せめて中くらいな。
つうかそのへんわかってんだろうな?人間とドラゴンじゃ基礎的なアレがいろいろ桁外れなんだからな!」
「中くらいって……というか、自信がないみたいだぞ、その言い方だと」
「んなわけねえだろ!」
ルークとマークが騒がしく会話する中、ひとまずチームを分けようというジョルジョの一声により、二手に分かれることとなった。
「パートナーが違うことはあったが、こうして明確に対立させるのはなかったな。そういえば。
……アラン、言っておくが手加減はしないぞ」
「お前もな、ウェズリー!むしろ手抜いたら承知しないぜ?」
「……それじゃ、お互いの健闘を祈って。……行くぞ」
ジョルジョの一声を合図に、それぞれ駆け出していった。
(・・・・来たか)
最初は赤いチームの3人であるアラン、ジョルジョ、ルークが渡辺の待ち受ける倉庫街にやって来ていた。
青いチームが来ていないと言う所を見ると、どうやら別の場所に行った様だが・・・。
(結局、あの後話し合って・・・ポイントが多いチームが勝ちって事になったんだっけ。 と言う事は誰か1人を倒して、
その後に他のチームが止めを刺そうとしている所に割り込んでポイントを稼ぐと言う手段もありの様だし)
要は奪い合いだよなー、と思わざるを得ない渡辺だったが、VSSEの相手としては3対1でも負ける訳には行かない。
陽介から聞いた話によれば、あのバーチャシティでの港でフリーランニングをしていた時と同じ様に、
アランとジョルジョとルークが散開して自分を見つけ出そうとして来ると踏んだ渡辺。
港やメガフロートを想定して造られているこの倉庫街は、陽介曰く雰囲気もバーチャシティのあの港そっくりらしい。
(不意打ちで行くかな)
余り身軽ではない渡辺だが、それでもキーシファイティングメソッドで鍛えた運動能力を活かして、まずは1番の
若手であるルーク・・・は身軽そうなので止め、最初にジョルジョの様子を窺う。
(用心深い奴だよなー、本当。あいつは隙がなかなか見当たら無さそうだぞ)
じゃあどうするかなー、と考えている渡辺の足にある物がコツンと当たった。
「ん?」
これは・・・と考えてそれを拾い上げた渡辺は、それを使った1つの作戦を思いついた。
(・・・・良し!)
渡辺はまず、ジョルジョの視界に入らない所から全力で『それ』を投げる。
それが地面に当たった時に一瞬ジョルジョの気がそれたので、そこを狙って渡辺はジョルジョの背中へと飛び出す。
「・・・!!」
ジョルジョはその渡辺の襲撃にワンテンポ反応が遅れる。しかし対処出来ない距離ではない。
渡辺はジョルジョの気をそらす為に、さっき足に当たった石を投げてジョルジョの気をそらしたのだ。
人間は音がした方向に意識が行く。となれば、意識をそらせる方法があればそれを使うだけだ。
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