第5部第1話


C1グランプリ―― サーキットNO1のドライバーとマシンを決める 総合モータースポーツイベント。

「モータースポーツの振興」と「運転技術の向上」を柱に一般ドライバーに広く門戸を解放して

開始されたこのイベントはそれまで公道を走っていたドライバーたちに安全でエキサイティングな

ステージを提供することとなり歓迎をもって迎えられた。

鈴鹿、筑波、TI、日光、首都高、大阪ー

今日も、各地のサーキットでは、頂点を目指し数多のドライバー達がバトルを繰り広げている。


最高の舞台で、最高の結果を勝ち取るために。



そして友也が街道を去って、1年が過ぎた2005年の春の頃。

ここに今、茨城県の筑波サーキットで新たにその舞台へ参加しようとする1人の女ドライバーがいた。

(ここが筑波サーキット…)

C1グランプリに参加するために、必要なライセンスを取るためにやってきた女の名前は白石 瑠璃(しらいし るり)

愛車の180SXと共に今日は筑波を1周するのだ。

カラーは紫で、吸排気系にカーボンボンネットのみのライトチューン。210馬力も出ていれば良い方だ。


規定タイムなどは無いのでとりあえずピットから1周。勢いよくコースに飛び出していく180SX。

瑠璃のドライビングはそつの無い、無理の無いドライビング。

早めのブレーキングからグリップ走行で徐々にアクセルを開けていき、ストレートではフルアクセル。

もともとは東京の埠頭で腕を磨いていただけあり、ドリフトもしようと思えば出来るが基本的にはグリップ走行。

そんなグリップ走行で出したタイムはそこそこのタイム。これでCライセンスは取れたのでまずは一安心だ。



開催されるコースは以下の6つ。

三重県鈴鹿市にある鈴鹿サーキット。東コース、西コース、そしてフルコースでの開催がある。

茨城県下妻市の筑波サーキット

栃木県宇都宮市にある日光サーキット

岡山県美作市のTIサーキット英田

・大阪環状線をサーキットとして生まれ変わらせた、大阪環状サーキット

・同じく首都高速環状線をサーキットにした首都高サーキット。内回りと外回りの2通りがある。



C1グランプリに参加する前に、3つの下位ランクがある。C→B→A。そしてC1GPだ。

C1グランプリに参加するためには、それぞれのランクにいる「マスター」と呼ばれる一番速い奴を倒すこと。

そうすることでランクが上がり、ライバルも速い者がどんどん出てくるのである。


コースはフィールド1から3まで分けられており、数字が大きければ大きい程難しくテクニカルなコースになってくる。

全てのコースでランクAからCまで開催されており、どこに行けば自分のランクで走れるかが一目でわかるように

インターネットでもわかるようになっている仕組みだ。

コース一覧は以下の通り。


フィールド1(ランクCからC1GP出場者まで走ることが出来る)

首都高サーキット(環状線外周り)

筑波サーキット

鈴鹿サーキット(東コース)


フィールド2(ランクBからC1GP出場者まで走ることが出来る)

大阪環状サーキット

TIサーキット英田(現:岡山国際サーキット)

鈴鹿サーキット(西)


フィールド3(ランクAからC1GP出場者まで走ることが出来る)

首都高サーキット(環状線内回り)

日光サーキット

鈴鹿サーキット



バトル形式は3つある。

・SPバトル。

Spirit Pointというポイントを削り合うバトル。プレイヤーまたはライバルのSPゲージが全て無くなると勝敗がつく。

これは街道サーキットで使われていたSPゲージをそのまま使用する。


・DPバトル

一定区間内でプレイヤーがドリフトをし、特定のDPポイント(Drift Point)と呼ばれるポイントを目標のポイント以上を稼ぐと勝利となる。


・RPバトル

5台のライバルカーと同時にスタートし、規定周回数を走るバトル。

このバトルシステムにはRPポイント(Racing Penalty Point)と呼ばれるポイントがあり、

レース開始時にプレイヤーは100ポイント持っている。RPポイントはライバルカー・壁への衝突、コースの逆走によって減少する。

RPポイントが50ポイントを下回るとピットストップさせられ、

RPポイントが100に戻るまでコースには復帰できなくなる。また、RPポイントが0になると強制的にリタイアさせられる。


毎日開催されるコースとランクとバトル形式が違うので、臨機応変な対応が必要になってくる。

瑠璃はCランクなので、最初はフィールド1しか走ることが出来ないが参加できないランクがないように

組み合わせはきちんと考えられているらしい。

フィールド1の筑波でCランクSPバトル、フィールド2のTIでBランクDPバトル、フィールド3の首都高サーキット内回りでAランクRPバトル。

フィールド1の鈴鹿東でAランクDPバトル、フィールド2の大阪環状でCランクRPバトル、フィールド3の鈴鹿フルコースでBランクSPバトル。

フィールド1の首都高サーキット外回りでBランクRPバトル、フィールド2鈴鹿西でAランクSPバトル、フィールド3の日光サーキットでCランクDPバトル。

といったように、1日で全国9つのコース全てにおいて、違うクラスで違うバトルが行われているのである。

インターネットでどこでどういったレースが行われているかがわかるようにもなっているのだ。

C1GPは毎回、ランクAからCまでのレースが終わった後に開催されるらしい。午後からなので暇になることも少なくはないとか。


(まずはCライセンス取ったから…とりあえず次の休みにはまた走りに行かないと)

週休二日制の平日勤務なので、週末にしか走りに来ることが出来ない。

なので週末の日にサーキットに出ている分のライバルは、一気に倒していくことにしよう、と心に誓う瑠璃であった。



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