第0.5部第11話
環状線、新環状線と制覇した令次は、いよいよ超高速ステージの湾岸線に入る。
洋子、周二、ディール、陽介。それに環状と新環状の合計8チーム。
この全てに打ち勝った事で、湾岸線向けのセッティングを施す事に。
エンジンのパワーアップは勿論、それに対応するために吸排気系も変更し、
マフラーは直管のストレートマフラーに。
勿論車検非対応なので、車検の時は対応するマフラーにする。
それと同時にミッションを、シーケンシャルシフトに切り替える。
よくゲームセンターのレースゲームで、ギアをカチカチ前か後ろに動かすだけの、レースマシンでよく使われているパーツだ。
何を置いても湾岸線ではパワーが第一だ。
そして直線では最高速が求められるので、ギア比で微調整を繰り返し、340キロ出るようにセットアップ。
1週間かかって、連、岸、沢村の3人でカスタマイズを進め、それを令次が乗る。
さすがに連も、300キロオーバーの世界は連続して体験したこと無いのでビビリ気味。
(こ、こえーーー!!)
顔に変な汗が浮き、自分の運転ではなく令次の運転の為、更に恐怖心は増す。
後ろからNSXで追いかける岸も、ちょっとずつ引き離されていく。
(うわー…これがターボエンジンの力かよ)
フルブーストをかけ、エンジンパワーは643馬力を搾り出す。
しかしフルブーストをかけ続けると、ボディにも、エンジンにも、負担がかかりすぎる。
なのでもう、1発勝負用のセッティングだ。
13号地から湾岸線方面へと行ける様になったが、13号地のライバルはジャンクションで折り返す。
なのでジャンクションで折り返さなければいけない。
だが幸いにも、そこのチームは1チームだけ。在日アメリカ軍の軍人ばかりが集まって出来たチームらしい。
そこのチームは2日かけて、連続で走りに行って倒す。
6人居る内3人を倒せば、リーダーが出てくるという情報が岸から入ってきたので、3人目のメンバーは湾岸線方面へ。
そしてそこであっさりと振り切り、クールダウンの為に少し流す。
するとリーダーの、SW20・MR2に乗った軍人が出てきた。
だが、陽介の時と同じ展開で、しかも陽介の180SXよりは全然パワーが出て無い様なので、
このMR2もあっさり振り切り、勝利した。
そのまま再びクールダウンに入って、湾岸線方面を流す。すると、トンネルに入った時、後ろから物凄いエンジン音が聞こえてきた。
ちらっと入る前にバックミラーを見ると、濃い紫に塗装されたトヨタの30ソアラが。音からするとターボらしい。
令次のR34は水温、油温共にまだ大丈夫そうだ。ハザードで応答し、通算第3ラウンドがスタート。
しかし、このソアラの加速はとんでもなく遅い。
(…あれ?)
スタートダッシュで一気に突き放し、ソアラをミラーの彼方へと追いやったはず…だった。
しかし、ソアラの本領発揮はここから。徐々に徐々に差を詰めてくる。ソアラも最高速重視にしてある様だ。
(くそっ…これはまずいかもしれないな!)
アクセルを床まで踏み込み、メーターを320以上まで回して振り切る!!
(いっけえええええええええええ!!)
前を見てアザーカーを避けつつ、追いついてきたソアラをブロックして走り続ける令次。
そしてギリギリ接線の粘り勝ちで、13号地のゾーンボスを下したのであった。
(はーっ、すっげーなあいつ…)
その後、近くのPAに入ると、そのソアラも後ろから着いて来た。
そしてそのドライバーに、またもや令次は驚く事に。
(また外人…?)
外人の走り屋が活躍しているもんだな、と令次が驚いていると、そのドライバーは穏やかな口調で話しかけてきた。
「ハイ、こんばんは。速いですね…」
「どうもこんばんは。あなたもかなり速かったですね。そのソアラ、かなりいじってあるんじゃないんですか?」
「ええ。この場所では誰にも負けないと思っていたんですけど、上には上が居るものですね。あ、僕はハール。ハール・ドレンジーです。よろしく」
「宝坂令次です」
その後、ハールから聞いた話によると、何でも湾岸線の方にハールが憧れていた走り屋が居るらしい。
湾岸線のミドルボスなのだそうだ。
残るエリアはこれで、湾岸線と横羽線――どちらもハイスピードコースだ。