第7部第15話(エピローグ)
後から聞いた話では、令次のR34はスローダウンして行ったらしい。負けを認めたそうだ。
令次を倒したはいいが、もうこれ以上、この時点で正樹より首都高で速い奴はいなくなった、ということになる。
それと同時に、これ以上首都高で走り続けていても意味が無い、と悟った正樹。
(……潮時だな)
走り屋で賑わう夜のPAの喧騒を見つめつつ、正樹は心の中で呟いた。
その心の中で、今まで首都高でバトルしてきたことが思い返される。
セリカで首都高に乗り込んだ日。
チームに入り、ワンダラーを次々と撃破して行った日々。
チームリーダーになって、他のチームに攻め込んでいった。
RX−8に乗り換えた。
80スープラにも乗り換えた。
でもパワーの差で負けも経験した。
サーティンデビルズとバトルもした。
それらを全て思い返し、もう首都高には思い残すことは無いと感じた正樹はスープラに乗り込み、ゆっくりと空港中央PAを後にした。
1つの伝説が終わりを告げた…。
正樹は迅帝に勝ったことを京介に告げ、キリがいいので首都高から降りることを決意した、と話した。
「そうか…首都高のトップになった奴が…またいなくなるのは寂しいけど、止めはしないさ」
その後。正樹は80スープラを売却し、京介の知り合いから手に入れた赤と黒のツートンカラーのAE86カローラレビンで
また富士スピードウェイに通いつめる日々となった。
首都高は流す程度にしかもう行っていない。正樹はもう、普通の人間に戻ったのだから。
第7部 完