第7部第13話
翌日。霞ヶ関へとやってきた正樹は「白いカリスマ」と遭遇。
何でもあの「パープルメテオ」こと椎名 連とは、昔一緒に走っていた走り屋らしい。
車は白のFD3S・RX−7だ。
「よう…連を倒したって走り屋は、あんただな?」
「ああ。山中正樹だ」
「俺は市松 孝司(いちまつ こうじ)。連の借りも含め、きっちり勝たせてもらうぜ!」
最初は正樹が先行し、それに孝司がぴったりついていくという形になった。
孝司を引き離すために、ペースアップする正樹。
しかし孝司も速い。
しかもコーナリングがかなりうまい。挙動がシビアなRX−7を
ここまでハイスピードでコーナリングさせるのは、かなりのテクニックがあると言っていいだろう。
重いスープラはブレーキングポイントがどうしても手前になりがち。しかもコーナリングスピードも速いとはいえ、RX−7に劣ることは否めない。
その差もあって、じりじりと孝司が差を詰めてくる。
(オラオラ、どうしたよ?)
アクセルを踏み込み、スープラに食いついていくRX−7。しかしコーナー立ち上がりでの速さは、
正樹のスープラの方が3リッターなので上だ。
(…この先で…一気に終わらせるか)
バックミラーを見て、コーナーを今まで以上に立ち上がり重視で抜ける正樹。孝司がその横から
突っ込み重視で抜きにかかってきたが、それだと失速してしまう。
そこで立ち上がり重視で抜けた正樹は、若干失速してしまったRX−7の横を駆け抜けていき、孝司を引き離して勝利した。
環状線、新環状、横羽線エリアは全て制覇。残りは湾岸線のみだ。
まずは大井へ。
ここでは物凄いR34GT−Rに遭遇。アニメの類はあまり見ない正樹だが、某ロボットアニメは知っている。
その某ロボットアニメを思い出させるような、真っ赤なボディにロケットのようなディスプレイ、
そして極めつけはボンネットに角と来ている。
またこんなのとバトルするのか・・・と頭が痛くなった正樹だったが、ドライバーを見て更にびっくり。
その搭乗主のコスプレをしている。
(…………)
表情は変わらないが、内心では今すぐにここから逃げ出したい。真っ先に逃げ出したい気持ちでいっぱいだ。
「どうした? 表情が暗いぞ?」
それはあんたのせいだよ、と言いたくなったが、言っても仕方ないので適当に流す。
「いえ、大丈夫です。初めまして、山中正樹です」
「正樹…ね。俺は白井 永治(しらい えいじ)。見せてもらおうか…80スープラの実力とやらを!」
ああもうこいつは手に負えない、と思いながらも、走り出してみるとその速さにびっくり。
3倍速く…はならなかったが、それでもR34の圧倒的なその加速力に驚きだ。が、最高速は323キロほどで頭打ちになったらしい。
330キロまで出るようにセットアップしていた正樹は、何とかギリギリで勝利することに成功したのであった。