第7部第10話


翌日。タイヤを交換して再び環状線へと出向く。

すると芝公園にて「ミッドナイトローズ」と呼ばれる紫のGTOが走っているのを発見。

早速スタート地点へ向かうと、またしてもドライバーは女であった。

「こんばんは」

「こんばんは。俺は山中正樹です。あなたは?」

「私は神橋 洋子(かみはし ようこ)です。よろしくお願いしますね」


最初は正樹が先行。洋子のGTOは加速が物凄いが、確実にブロック。加えて道幅もこの区間は狭い。

最初の2つの左コーナーで、GTOを引き離す正樹。

だがここからGTOの怒濤の加速が始まった。バンパープッシュするような勢いでテールにぴったりと張り付き、

プレッシャーをかける。それでも洋子の車線変更は、スムーズで丁寧だ。


しっかりとハンドルを握り、プレッシャーに負けないようにバックミラーをひっくり返す正樹。

すると目の前に、新環状線との合流の目印になる、急な左コーナーが見えてきた。塚本のR32を引き離したところだ。

そこで正樹は突っ込み重視でブレーキングし、コーナリング。


洋子もきっちり食らいついてくるはずだったのだが、120%の突っ込みにブレーキングが足りずにアンダーを出してしまう。

そのまま引き離し、正樹の勝利となった。




洋子を倒した後は銀座へ向かう。そこでは紫色のR32GT−Rに遭遇。

「パープルメテオ」というらしい。

スタート地点にいたのは、ガタイがいい金髪の男だった。


「バトルを申し込んできたのは、君だな?」

「はい、そうです」

「そうか…俺は椎名 連(しいな れん)だ。あんたは?」

「山中正樹です。よろしく」


連のR32はあまりパワーがないようだ。ブーストアップで400馬力くらいといったところであろう。

勝負は環状線内回り。汐留S字の出口からスタートだ。先行を許したものの、直線では簡単に追いつける。

(加速はこっちが上か)


問題はコーナリングだ。フルブレーキングしてトンネルのS字コーナーに突入。そこで、連はR32とは思えないほど

いいブレーキングから、ドリフトで進入。浅めにカウンターを当てつつ抜けていく。

(GT−Rでドリフト…パワーがあるな)

力強いその走りに、正樹も若干押され気味ではあるがグリップ走行で食らいついていく。

(速いことは速いが…抜けない相手ではなさそうだ)

パワーと立ち上がりのスピードを活かして、R32のテールに張り付いていく。


連は幾多ものバトルをくぐり抜けてきているので、滅多なことでは動揺しない。

(食いついてくるな。良いドライバーだ)

ミラーでちらりと正樹のスープラを見ながら、アクセルを踏み込んで加速していく。



だがあまり正樹はかまっている時間は無い。

トンネルを抜け、S字を抜けると、橋桁区間までの間に直線がある。

そこできちんと連の前に出て、後はパワーで少しずつ差を広げて勝利した正樹であった。


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