第7部第9話
和美をぶっちぎり、続いては福住から有明へ。和美とバトルしたのは新環状線右回りなので、
そのままやってきてしまった。
そこで見つけたのは、黄色の派手なRX−8。ここでこのマシンで活躍しているとは…。
正樹は興味を持ち、そのRX−8にバトルを申し込んでスタート地点へ。
そこに待っていたのは、和美と同じく女のドライバーだった。
「こんばんは、三浦 由佳(みうら ゆか)です」
「山中正樹だ」
スタートは正樹が先行したが、何とRX−8に抜き返されてしまった。
しかし、そのRX−8は加速重視のようだった。
300キロを超えた時点であっさりとパスし、先に台場線に合流するための右コーナーへと飛び込み、決着をつけたのである。
加速重視で一気に勝負をつけるつもりだったらしいが、幸いこっちの車の性能が上回っていた。
勝負は汚いことをしなければ、車の差だろうが何だろうが、勝てばいいのだ。
最後は台場線へ。
ここでは何とアメリカで放映されていた、某テレビドラマの特殊車両そっくりに仕立て上げられた、黒いZ32に遭遇。
通り名が「真夜中の銀狼」と書いてあるが、どこをどう見ても銀狼とは呼べないだろう。
そして、スタート地点へと向かった正樹の目の前に現れたのは、オレンジ色の髪の毛をした男であった。
「由佳から話は聞いてるよ。小野田 博人(おのだ ひろと)だ。よろしく」
「もう伝わったのか…」
「ああ。さっきケータイで連絡もらった。あいつとは知り合いなんだ。早速始めよう」
スタートは正樹が先行するが、Z32もぴったりとついてくる。しかしZ32のブレーキングは凄かった。
レインボーブリッジ後のコーナーで、重い車とは思えない程の突っ込みからフルブレーキ。
ややテールスライドしながらも、2車線を使って駆け抜ける。
(あそこまでブレーキ遅らせるのか?)
正樹も何とか博人に食らいついてクリア。
コーナリング速度は同じくらいだったが、さっきのブレーキングを見せられて少し緊張する正樹。正樹だって人間だ。
(これは…でも、コーナーなら勝負できる!)
深呼吸をして落ち着きを取り戻し、アクセルを踏み込む。そのまま左、右と来るS字へ。
ブレーキングは博人の方が奥まで突っ込んでいったが、立ち上がりで若干のふらつきがあった。そこを正樹は
しっかり捉え、立ち上がり重視で2個目の右をコーナリング。
そのまま立ち上がりで前に出て、勝負あり。先にゴールされたことで、博人はスローダウンしていった。