Calamity to the empire第11話
エスヴェテレスでは帝国内で多くの傭兵が活動している事でも有名だ。
その中の1人が魔導師の傭兵として名を馳せているウェザート・ラナリオールと
呼ばれる男だった。武器は杖を使い、それにより魔力を増幅させる事によって
広範囲の敵に攻撃が出来たり攻撃力を下げたりする事が出来る。
範囲が広い事はそれだけ戦場では役に立つ事になる。攻撃範囲の広さはそれだけで
相手にとっては驚異的な物になる訳だし、味方に回復魔法をかける時にもより多くの
味方に回復魔法をかけられれば有利に戦況をこちら側に持って来る事が出来る。
子供の時からウェザートは大人しい性格であり、身体を動かす事よりは本を読んで
知識を深める事が好きな人間であった。その過程でこの世界では常識となっている
魔導と言う物に興味を持ち、自分の魔力量が魔導師になる為に問題無い量である事で
ある事を知ってからはますます魔導の勉強にのめりこんで行く事になった。
そうして帝都出身である彼は14歳の時にそのまま魔導学院に入学して、ますます魔導の
勉強に精を出す様になって行く。そののめりこみ具合は傍から見ても異常な位で、友人と
呼べる人間は結局学院を卒業した18歳になるまで幼馴染のシュヴィスを含めて片手で
数える程しか居なかったと言う逸話が残っている。
しかし彼はそんな事は意にも介さずに、魔導の勉強を続けながら自分が卒業したその
魔導学院で講師を務めていたのだが、もっと色々な魔導の研究をしてみたいと思い
3年前の25歳の時に傭兵に転職した。
その時から2年間世界中を回ってからエスヴェテレスに帰って来た事で、更に魔導師として
レベルアップをして来たのである。
具体的には全部の国を回って来たのであるが、その中でも魔導に関して1番テクノロジーが
高いとされているシュア王国には1年住んでいた。逆に最も滞在している期間が短かったのは
魔導が全くと言って良い程普及していないファルス帝国で、僅か3週間だけだったと言う。
そんな彼はレベルアップをして戻って来た訳であるが、もう1度学院の講師にカムバックしようと
思ったらもうすでに後釜となる講師が決定していたので不採用になってしまい、仕方無く
傭兵として活動する道を選んだ。その過程で、今カルテットとなっている残りの2人の傭兵である
ロラバート、ブラヴァールと知り合うのであった。今ではカルテットの自分以外の3人の内、同じく
魔導師であり幼馴染でもあるシュヴィスとは気が合うので大体このウェザートとシュヴィス、
それからロラバートとブラヴァールと言うコンビが成り立っている。
シュヴィスの方が攻撃魔法の威力が高いので、主に戦闘の時には自分は回復薬と防御役に
徹する事にポジションの重点を置いている。
魔導師である以上魔法を扱う事に関しては息をする事の様に簡単な事であるのだが、
その反面近接接近戦闘は全くと言って良い程出来ないのが自分でも悩みの種である。
だがそれでも魔法が使えなくなってしまった時の護身用に、2本の短剣を懐に隠しているのは
周知の事実である。世界中を旅してレベルアップして来ただけあって結構自信過剰な性格であるが、
単に口だけでは無いと言う事を思い知らされる人間は後を絶たない。
傭兵世界の中でも世界中を旅して回っていた事で、殆どの国で顔を知られている世界的に
有名な傭兵の1人としても知られて居る彼は、今日もまたギルドから請け負っている依頼をこなすと
同時に魔導の勉強に精を出しているのである。