A Solitary Battle High Speed Stage第6話


馬のポーズで背中と足を伸ばしたニールが次に行う2つ目のポーズは魚のポーズである。

魚のポーズは基本的には戦いでは使われることは無く、自分のバランス感覚を鍛える為に

使われているポーズになるのだ。その理由としてはもうポーズを見てみると一目で分かる通り、

魚を模した片足でバランスを取ってグラグラする身体を安定させるからだ。

ではその魚のポーズをどうやれば良いのかと言うと、まずは馬のポーズと同じ様に両耳に

反対側の手の甲をそれぞれ当ててガードの姿勢を作り、左右どちらかの足を上にまっすぐ上げる。

と言っても上に伸ばすのでは無く、あくまで膝だけを上に上げるのでただ単に膝蹴りをまっすぐ上に

やっていると思えば良い。


ここから今度は、上半身を前に倒しながら上げた足とは反対側の手を前にまっすぐ突き出し、

反対側の手は脇腹の横に来る様に姿勢を保つ。足は地面に置いてある方の足で踏ん張りながら

バランスを取り、上に上げている足を後ろ側にまっすぐ伸ばし、伸び切った所で上げている方の

膝の関節を80度位まで曲げる。この姿勢の時に重要なポイントになるのが、横から自分の姿勢を

見た時に上半身が地面と平行になっている……つまりまっすぐ前傾姿勢が取れているかどうかと言う所になる。

前に伸ばしている手はバランスが取れたらそこから少し曲げてバランスを取り、目線と顔の向きも常にまっすぐ

前を見る様にしておく。


ここまでで魚のポーズの前半部分が終了し、元の姿勢に戻る時にはここからゆっくりと上げている方の足を

戻して行きながら上半身も一緒に元の立ちポーズの姿勢に戻す為にゆっくり上げて行く。足は地面に

下ろすのでは無く、最初に上げた時の体勢に戻るので戻った時には両手の甲がそれぞれ反対側の耳に

当たっている状態で、片足が上がった状態だ。そしてゆっくりと上げている足を地面に下ろして魚のポーズは

終了となる。

勿論、魚のポーズは片足だけでは無く両足それぞれでバランスを取る練習をする事によって体幹が

しっかりと鍛えられる。なので右足でバランスを取って魚のポーズをし終わったら、次は左足でバランスを取って

魚のポーズをすると言う様に交互にポーズの練習をする事で効果は倍増するのだ。

このポーズはバランス感覚以外にも、意外と足の筋肉……特に太ももの筋肉を上げている足の方で使う事に

なるのでその部位も鍛える事が出来るし、まっすぐ前を見る為に顔も上げなければいけないとなれば自然と

背中も力を入れておかなければならないので、また背中のストレッチも可能になる。


ニールの場合、これをバランスがどうしても悪くなってしまいがちな砂浜の砂の上でやっている訳だが、

そこはやはり20年と言うベテランカラリパヤット使いである為に多少地面の状態が悪い故にバランスが取りづらいと

言う状況でも、その分は今まで培ったバランス感覚と鍛えられた体幹で難なくバランスを取る事に成功していた。

狭い場所を歩く様な場面……例えば工事現場の鉄骨の上や、平均台の様な細い部分等でバランスを

取らなければいけない様な時に身体のバランス感覚を養っておく事で、万が一そう言った場所から落ちて

事故に繋がると言うリスクが軽減される事にも繋がる。また、身体の体幹が鍛えられると言う事はそれだけ

身体の歪みも軽減されて自然とバランス良く身体を支える事の出来るインナーマッスルが出来上がる事になるので、

歩く時のプロポーションが綺麗になると言うメリットも存在しているのだ。

身体の歪みは日常生活の中で思わぬ事故を招いたり、姿勢が悪くなって腰痛や肩こり等の原因になってしまう為に、

こうして魚のポーズを重点的に行う事でそうしたトラブルから身を守る事も可能になると言う、

まさに一石何鳥もある身体のバランス感覚の鍛え方になっているのだ。


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