A Solitary Battle High Speed Stage第38話


しかし、始める前にニールには1つだけ気になる事が。

「御前達の部下はどうした?」

「上を捜索して貰っているが、ここへの入り口を教えてあるからもう少しで

この地下にも来るだろうな。師団長クラスまでしかこの研究施設の存在を

知らせないつもりだったが、こうなってしまった以上止むを得ない。勿論

かん口令は敷かせて貰う。それまでに私達が御前を倒すのが先だとは思うがな」

そう言いながらセレイザはニールの背後へと回りこむ。同時にセレイザがニールを

挟み込む形で正面に立つ。人数差を利用して両側に人員を配置し、攻撃目標を

定めさせない様にする作戦だ。

でもここであの時、路地裏で敗北した苦い経験をニールは思い出した。

なのでなるべく挟み込まれ無い様にしてどちらか1人ずつを相手にして行きたい所だが、

どちらも名前の通りの実力者なだけの事はありそうなのでなかなか厳しいのが現状である。


「……ふっ!」

最初に仕掛けて来たのはエジットだった。斧を振って来るかと思いきやまずは右の

ハイキックから来たので、それを素早く両腕でブロックして前蹴りで蹴り飛ばす。

次に後ろからセレイザがロングソードを振って来る気配がしたので今しがた蹴り飛ばした

エジットの方に向かって小さくジャンプして一気に接近し、エジットの胸倉を掴んで

以前と同じく背負い投げの要領でセレイザの方へと投げる。

「うわあっ!!」

背中からエジットは地面に叩き付けられた物の、上手くその飛んで来るエジットを

回避したセレイザがロングソードを振って来たのでニールは後ろに飛んでかわし、

振り返して来る前に一気にセレイザの懐に飛び込みつつ胸当てやすね当て等の

防具が無い顔面目掛けて強烈なハイキック。


「ぐふぉ!」

後ろにセレイザがよろけるが、ニールはそこで追撃の手を緩める事はせずに

そこからセレイザの頭を両手で掴んで飛び込みながらの頭突きをセレイザの

頭に向けてクリーンヒットさせる。

その2人のバトルにエジットが乱入して来たので、頭突きで怯んだセレイザを放っておき

今度はセレイザの下段への攻撃をジャンプして回避。それでもエジットは斧を振った勢いで

もう1回転して今度はニールの頭目掛けてブンッと音を立てながら斧を振るのでそれを

ボクシングで良く見られるダッキング(深い屈み回避)でかわしながら右手でエジットの

足首を引っ張って転ばせ、転んだエジットの顔面を全力で踏み潰す。

「ごっ!?」


顔を押さえて悶え苦しむエジットの横から回復したセレイザが再び向かって来たので、

振るわれるロングソードを右、左、後ろとかわしたニールが取った行動はセレイザの

ロングソードを持っている右腕を取って素早く後ろへと回り込み、背中越しに

肩の関節を思いっ切り外す。

「うぐえええっ!?」

セレイザの右肩の関節が外れる音が背後で聞こえたが、それに全くニールは動じずに

関節を外したまま自分の背中の上をセレイザの身体を通して地面へと投げ倒す。


「おりゃああああっ!!」

ふと横を見てみればエジットが回復して来た様で斧を振り回して来る。

それを良く観察しながらニールは冷静にかわし、更にはエジットの振り回す斧の柄の部分を

上手く両手で弾いてブロック。握るのはあの怪奇現象が起こるから駄目だったとしても、

一瞬触る程度であれば何ら問題は無い事が分かった。だったらブロックするのも何も問題が

無いと言う事になるので、的確に3、4度ブロックしたニールはそこからスパッとメイパイヤットの

最初のポーズの足裁きでエジットの背後を取り、右腕をエジットの頭の後ろから回して

一気に左腕も絡め、全力で彼の首を捻って首の骨をへし折って息絶えさせる事に成功した。


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