A Solitary Battle High Speed Stage第35話


ニールはそんな2人を見つめながら、聞きたい事を色々聞いてみる事に。

「所でこの施設は一体何なんだ? さっき見てきた限りでは、物凄く得体の知れない実験を

しているらしいな。人間のホルマリン漬けとか余り趣味の宜しく無い研究までしているみたいだ。

俺にとっては悪趣味な研究でしか無いがな」

役者の仕事で培った、低いながらも良く通る大きな声でニールが問いかける。

この質問には騎士団長のセレイザが直々に答えてくれる様だ。

「ここか? 表向きは騎士団の倉庫として使っている名目なんだが、地下のこの研究施設は

ある目的があって色々と研究や開発をして居るんだ」

「目的?」


ニールが疑問を投げ掛けると、セレイザは1つコクリと頷いて続ける。

「戦争の為だ。我がソルイール帝国は芸術に秀でた国とされているが、それ以上に好戦的な

性格の皇帝が騎士団の育成に自ら力を入れておられる。当然私だって部下の育成には妥協を許さない。

しかし騎士団の力だけでは到底対処し切れない様な場面や魔物だってある訳だから、その為に

地下で生物兵器を開発していたんだ。戦争でも生物兵器が役に立つ時が来るかもしれないからな」

それを聞いたニールに1つの確信が生まれる。

「まさか、あのホルマリン漬け等がそれになるのか?あれって元々もしかして……」

「察しが良いな。あいつ等はこの国で重罪を起こした犯罪人の処刑された慣れの果てさ。犯罪者に

なっても国の為に役に立てるのだから光栄だと思っているんじゃ無いのか?」

「……人体実験って奴か」

死体だけどな……とポツリと呟くニールだったが、やっぱりやっている事は相当に惨たらしい物である事に

変わりは無さそうである。

「じゃあ、あのユフリーって女もそれを知っていたのか。俺を捕らえて良く調べるとか言っていたけど、

あのホルマリン漬けみたいに俺も最終的にあそこに入れられる事になってしまうのか?」


だがそれに答えたのはセレイザでは無くギルドトップの実力者であり、ユフリーの婚約者でもあるエジットだった。

「いや、それは無い。個人的に御前は異世界人だし、魔術が効かないって言うのは俺の経験上知っていたからな。

そもそもユフリーはここの地下の研究施設については知らなかった。この研究施設の事は国の中でも騎士団長の

この人、それから師団長の人間までしか知らないトップシークレット扱いの事実になっている。かん口令が

敷かれているから騎士団の部隊長クラスや、一般の人間がそれを知る事は不可能って訳さ」

でも、その話を聞いたニールにはまたもや疑問が。

「だったら何故御前はこの事を知っているんだ? 今話してくれた通りでこの研究や開発の事実が騎士団でも

騎士団長から師団長までしか知らない様な、俺がもしこの世界の住人だったら一生知りえる事が無かった様な

トップシークレット扱いの最重要極秘情報なんだろう?」


回答者は再びエジットからセレイザに戻る。

「エジットはギルドトップの自他共に認める凄腕の冒険者だからだ。私から直々に任務を回す事も多いからな。

騎士団にこそ属していない非軍属の人間ではあるにせよ、そこまで関わってしまったらいずれ戦争でも活躍して

貰う事に変わりは無い。だから将来、生物兵器を扱うリーダーとして育成する時の為に、このエジットは特別に

ここへの出入りが許されていたと言う訳だ。これで納得か?」

「ああ、とっても」

この国の……いや、この世界の人間じゃ無くて良かったと心からそう思ったニールだったが、ここで1つのある事を

思い出した。

「ん?待てよ……だったらこの俺の横にある機械は一体何なんだ?ホルマリン漬けの培養装置とかの

制御をする為の装置か?」

しかし、セレイザから返って来た答えはニールの想像を絶する物だった!!


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