A Solitary Battle High Speed Stage第34話


一体ここは何の実験施設なんだ? とニールは疑問に思いながら、薄気味悪い

この部屋を抜けて奥に見える重厚な造りのドアから先に進む。

その先には長い廊下があり、幾つものドアが両サイドに並んでいる。

(確かめてみるか)

若干面倒だとは思いながらも、1つ1つのドアを開けて中に何があるのかを確かめてみるニール。

どの部屋も造りは一緒で、まるでワンルームのマンションを思い出させる造りだ。

そして共通しているのは、どの部屋でも同じ様な何かの実験や研究をしている様な雰囲気だった。

(本当に何の研究をしているのか……内容を疑うな)

顔をしかめながらも全ての部屋を見て回り、最後に自分が入って来た方とは反対側の廊下の

突き当たりにあるドアを開けて先に進む。


その先には何と地下水路が流れていた。だが、ニールは頭を少し横に振って考え直す。

(って、良く考えてみればここは港に造られた施設だからこう言う場所があっても何もおかしく無いだろうに)

とにかく先に進むと決意したニールは、万が一足を滑らせて水路に落ちてしまわない横に注意しながら

進んで行く。この辺り一体は部屋らしき物は見当たらないが、奥の方を見てみると1箇所だけ大きな

両開きのドアが鎮座しているのが見える。いかにも怪しい場所だ。

(とりあえずあそこまで行けば何とかなるか?)

と言うか今の自分にはそれしか出来そうに無いので、何も無ければまたあのエレベーターシャフトを

上るか別のルートを見つけてここから逃げるだけだ。

(何処に出口があるのかは、その時また見つけるしか無さそうだがな)

願わくばこの先で地球に帰る事が出来る様な展開であって欲しいと願いながら、ニールは地下水路の通路を

そのドアに向かって歩いて行く。だが、そのドアの先に待ち構えていたのはニールにとって衝撃過ぎる展開だった!!


(ここは……と言うかあれは壁画……?)

その部屋は28メートル×15メートルのバスケットボールコートが2つ程入りそうな広い部屋で、部屋の中央には

バスケットボールコートの半分位の広さと約6メートル位の高さの天井を半分位まで使った何かのエネルギー

装置らしき物が置かれている。と言っても一昔前のSF映画に出て来そうな、妙に安っぽいデザインの

機械らしき物で色々なスイッチらしき物は見当たら無い事から、あくまでニールがそう判断しただけの話なのだが。

それに気になるのは部屋の奥に大きく鎮座しているその壁画であった。奥の壁の半分以上の面積を使った、

何とも不気味な絵の描いてある壁画でニールも何だか何処と無く気持ち悪さを感じていた。

(ここから何か出て来たりしないだろうな……ファンタジーなこの世界だけに)


そう思いながら壁画に近づいて行くニールだったが、エネルギー装置の横辺りまで来た時にいきなりさっき

自分が入って来たドアが開いた。

「っ!?」

そのドアが開け放たれた場所に立っていたのは2人の男のシルエット。2人の内1人は見知った顔の男だった。

「……どうやって貴様がここまで入って来たかは知らないが、この場所を見られてしまったからには

ただで帰す訳には行かないな」

「ネズミがこそこそしやがって。こんな場所まで一体何の用だ?」

そんな2人のセリフに、ニールは壁画に向かっていた足を完全に2人の方へ向ける。

「そっちこそ、俺に付きまとったって何の得にもならないだろうに。あの女までそっちの味方だったと言う訳か。

人を安易に信用なんかするもんじゃないって良く分かる奴だったよ。何処で人と人の繋がりがあるか

分からないから、迂闊に異世界の事を話した俺も悪かったがな……」

ニールはそう言って、自分を追って来たこの帝国の騎士団長とギルドトップの男をにらみつけた。


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